2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

乳がんの“指南書”に 漫画で闘病体験つづる 漫画家、夢野かつきさん(千葉市稲毛区)

自身の闘病をつづった「乳癌日記」の著者、夢野かつきさん。「わからないことや不安なことが少しでも解消されたらうれしい」と語る=千葉市中央区
自身の闘病をつづった「乳癌日記」の著者、夢野かつきさん。「わからないことや不安なことが少しでも解消されたらうれしい」と語る=千葉市中央区

 毎年10月は乳がん検診の早期受診を呼び掛ける「ピンクリボン運動」の強化月間。乳がんサバイバーで漫画家の夢野かつきさん(44)は、9月、自身の闘病体験をつづったコミックエッセー「乳癌日記 胸の小さな痛みから始まった乳癌闘病記」(廣済堂出版、税別1500円)を刊行した。告知から抗がん剤治療、手術、術後の生活まで、実体験が詰め込まれた“乳がんの指南書”となっている。

 夢野さんが乳がんの告知を受けたのは2015年。右胸の先端にチクチクとした痛みを感じ、触るとしこりのようなものが確認できたため病院を受診した。「2センチくらいのスーパーボールが入っているような感じだった」と振り返る。医師から病気の可能性について「限りなく黒」と告げられたのは誕生日当日。約2週間後、ステージ2Bの乳がんと診断された。

 腋窩(えきか)リンパ節にも転移していたため、右胸全摘と右腋窩リンパ節郭清の手術を行った。手術後、リンパ浮腫によって漫画執筆に影響が出ることを不安に思い、主治医への説明のため、第1話を描いたことが「乳癌日記」誕生のきっかけだという。主治医は千葉大医学部付属病院ブレストセンターの榊原淳太氏。本書の監修も務めている。

 病院スタッフがカエルのぬいぐるみを夢野さんに見立てて話しかけたり、職場の人が見舞いに来た際には「元気だ!」と指摘されたため、入室から仕切り直しをお願いしてベッドで弱っている演技をしたりと、まるでコントのような話が続くが「全部本当のこと」と笑う夢野さん。闘病中も仕事を続け、映画や旅行、乗馬などにも挑戦し、病気になる前よりも外出の機会が増えた。充実した生活を送っていたが「もしかしたら死ぬかもしれない。生きている間に全部やっておかなきゃ」と不安もあったという。

 抗がん剤治療の途中から執筆を開始。漫画を描くことが治療を続けるモチベーションにつながった。「私の体験が全部役に立つと思ったら、治療もそんなに怖くなかった」。読者には闘病中やがんの告知を受けた人、患者の家族などが多く、「読んで安心した」とのコメントが寄せられているという。

 自身の経験を踏まえ、早期発見の重要性を語る夢野さん。検診を考えている人について「何もなければ安心を得られるし、何かあればすぐ治療ができる。ぜひ受けてほしい」と呼び掛ける。また、現在闘病中の人に向けては「弱音を吐いてもいいので、なんとか乗り切ってほしい。自分が楽しいと思えることを大切にして、楽しいことを諦めないで」とエールを送った。(溝口文)


  • LINEで送る