房総通リズム春の観光特集2024

重油の海、奇跡の生還 戦艦「武蔵」の元乗組員 早川孝二さん(92)=南房総市=【戦後75年千葉 記憶を令和に】(1)

 グゥーというごう音とともに渦を巻き、海の底へと沈む戦艦。自分もその渦に巻かれ、だんだんと意識が遠のいていく―。当時最年少だった元乗組員は、“不沈艦”と呼ばれた世界最大の戦艦「武蔵」が海中へと沈んでいった76年前の出来事を、今でも鮮明に覚えている。(館山鴨川支局長・飽本瑛大)

 戦局悪化の一途をたどっていた1944年2月、横須賀の海軍航海学校に入校。同年8月、気象兵として、16歳という若さで武蔵の乗組員に選ばれた。「乗組員約2400人の中で16歳は私1人だけ。武蔵に乗ることは天皇陛下のおそばに仕えるようなもので、恐れ多かった」。全長263メートル、幅約40メートルの巨大戦艦を目の当たりにし、思わず息をのんだ。

 艦内での役目は、天気図を作成したり、砲弾発射などの際に風向きや気圧を知らせること。 ・・・

【残り 1119文字、写真 1 枚】



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