昔の景観残す谷津と林 動植物の生命育む 市川・大町自然観察園 【出掛けよう!涼を求めて】

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 セミの鳴き声に包まれながら汗をふきふき歩いていると、視界のはしを黒い影がかすめた。思わず足を止め周りを見渡す。すると、影の正体、オニヤンマが入道雲が沸き立つ夏空に飛び去った。

 市川市は下総台地の西端に位置し、台地には木の枝状に「谷津」が刻み込まれていた。その多くが都市化の波を受け住宅街などに変わったが、大町自然観察園(同市大町)は市内で唯一、谷津と斜面林を昔の地形と景観のままで残している。中央の湿地にはわき水も集まり、水と緑の空間は多くの動植物の生命を育む“ゆりかご”でもある。

 同園は「長田谷津」の最奥部に当たり、雑木林に囲まれた全長約700メートルの湿地帯に遊歩道を整備。日陰に涼を求めながら歩き始めると、ソーセージのようなガマの穂やネムノキの花が目に付く。足元に目を落とせば、わき水のせせらぎ。カワセミやコゲラなどの野鳥も姿を現すと言い、市内にいることを忘れる。

 休憩を兼ねて隣接する観賞植物園(入園無料)へ。熱帯系植物が展示された温室を見学し、遊歩道に戻る。雑然と見える湿地だが、ミズニラやフジバカマなど貴重な湿地性植物が保護されているという。ヘイケボタルも生息しているが、今夏の鑑賞会はすでに終了。楽しみは来夏にとっておくことにした。

◇大町自然観察園 アクセス=JR本八幡駅、同市川大野駅からバス。北総線大町駅から徒歩約15分。料金=無料。休園日=月曜日。動物園(有料)や自然博物館も隣接。問い合わせは動物園(電話047-338-1960)。