モノレール延伸せず 千葉市、費用対効果低く

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 千葉市は4日、千葉都市モノレールの延伸計画を廃止すると発表した。延伸の可否について昨年度から再検証に着手した結果、費用対効果が低く、モノレール会社の経営に多大な影響が出ると判断した。熊谷俊人市長が10年前に財政難を理由に凍結した市政長年の懸案が決着を見た。ただ、延伸計画があった地域では交通渋滞などの課題が残されており、市としての対策が急務だ。

 千葉都市モノレールに93%を出資する千葉市は、2017年9月の「脱・財政危機」宣言解除を受け、昨年度から延伸事業の再検証に着手。1800万円をかけて外部機関に検証業務を委託した。

 再検証したのは、千葉みなと-県庁前駅までの1号線を市立青葉病院前まで延伸する1・9キロの「病院ルート」と、千葉-千城台駅の2号線を穴川駅からJR稲毛・稲毛海岸駅へと分岐させる4・3キロの「稲毛ルート」。

 検証結果によると、両ルートを合わせた概算整備費は690億円。このうち病院ルートの整備費は196億円で、延伸で新たに1日3200人が利用すると予測された。総費用に対する総便益の比率「費用便益比」は0・87だった。稲毛ルートの整備費は494億円で1日の利用者は1200人。費用便益比は0・73にとどまった。いずれも費用対効果が低い結果となった。

 同社の経営に対する影響も検証した。モノレールの利用者は沿線の人口増やJR千葉駅との接続性向上などで増加傾向にあり、18年度は過去最高益を達成。だが、今後は車両などの設備更新費として34年度までに約160億円が必要とされる。延伸費690億円のうち市の負担は587億円で、モノレール会社としても103億円が必要となるため、「経営状況に影響が生じる」と指摘した。

 市は検証結果に加え、「延伸しても需要は見込めない」などとする有識者2人の意見も踏まえ延伸計画の廃止を決定。延伸検討区域だった市民の交通手段を確保するため、市都市局として現状のバス路線の走行環境や乗り継ぎなどの利便性向上に取り組むとした。

 熊谷市長は「総合的に判断して延伸は行わない結論に至った。モノレールは市の公共交通の骨格を形成する重要な交通機関。引き続き、モノレール会社とともに安心・安全な運行やサービスの向上を図り、安定経営に努める」とのコメントを出した。

 千葉都市モノレールの担当者は「開業から30年以上が経ち設備の更新に多大な費用がかかる。市の判断は妥当。既存路線の安心、安全を確実に守っていく」とした。

◇費用便益比 総費用に対する総便益の比率。数値が1以上であれば総便益が総費用より大きいため、一般的に妥当な事業と評価される。今回の総費用は用地費やモノレールの設備などに要する費用の総計。総便益は会社の利益に加え、一般自動車の走行時間短縮など道路交通側が受ける便益を含めた総計。