中国からやって来た珍客 カラチョウザメ 【海の紳士録】

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 チョウザメ類は、名前にサメという文字が入っているが、一般にサメと呼ばれている軟骨魚類のサメとは全く別の仲間である。原始的な硬骨魚類で、「生きた化石」ともいわれている。世界から約25種が知られており、その卵は高級食材のキャビアとして珍重されている。

 カラチョウザメは東シナ海および中国の長江に生息し、全長5メートル、体重450キロに達する。本種は成熟すると海から川を遡って繁殖する回遊魚である。以前は河口から2500|3000キロ上流で産卵していたが、三峡ダムなど魚道のない巨大ダムの建設により、かつての産卵場所まで到達できなくなってしまった。さらに、乱獲や水質の悪化などが重なって生息数は激減し、ICUN(国際自然保護連合)のレッドリストには、絶滅危惧種に位置づけられている。

 カラチョウザメは遊泳力が強く、海域で生活している若い個体が日本沿岸で捕獲されることがある。最近では平成9年に鹿児島県で捕獲され、かごしま水族館に搬入された。現在も同館で飼育されており、その生きた姿を見ることができる。昭和33年には、千葉県金谷の定置網でもカラチョウザメが捕獲されている。当時の記録によると、この個体は安房水産高校に寄贈され、教員が形態の計測を行った後、一同で肉を試食したとある。さぞ珍味であったことであろう。ただし、オスだったことからキャビアにはありつけなかったようだ。肉以外の部分は剥製標本となり、安房博物館などを経て、今年から海の博物館で保管されている。(千葉県立中央博物館分館海の博物館 川瀬裕司)