「房州切子」制作ピーク 新盆へ伝統技術継承 館山の中村さん

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伝統技術を継承し、手作業で房州切子を制作する中村さん=24日、館山市那古
伝統技術を継承し、手作業で房州切子を制作する中村さん=24日、館山市那古

 お盆の季節を前に、南房総地域の新盆を飾る伝統的なつり灯籠「房州切子」が制作ピークを迎えている。金と白の鮮やかな灯籠は、唯一の“切子職人”である館山市の中村俊一さん(43)がすべて1人で手作りしたもの。作業は一筋縄ではいかないが、中村さんは「亡くなった人の魂とその家族をつなぐもの。気は抜けない」と、連日組み立てや飾り付けに汗を流している。

 房州切子は、飾り窓の形に切り抜いた紙を立方体の木枠に貼り、造花などで彩った灯籠。一般的な切子とは異なりスギの木枠や障子紙を使用し、丈が短く小ぶりなのが特徴で、南房総地域では新盆を迎える家の仏壇や墓参りで飾られる。

 もともと都内でデザイン関係の仕事をしていた中村さん。子どもが生まれたのを機に5年前、同市へUターンした。仕事を探す中でたどり着いたのが、幼少期から慣れ親しんだ房州切子だった。

 当時、市内で唯一の切子職人だった故・行貝實さんに弟子入りし、地道に修業を重ねた。今では行貝さんが遺した工具や技術を受け継ぎ、組み立てから飾り付けまですべて1人で作業を担っている。

 房州切子は本来、金と白の2色で一対となるが、最近は1色のみの発注が増えているという。今年は昨年より多い370個を制作する予定で、中村さんは「房州切子の伝統を受け継ぐとともに、後継者を増やしていきたい」と語った。