崙書房来月に業務終了 50周年目前、出版不況で 流山

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会社の業務終了を前に残務整理をする小林社長(右)ら=流山市
会社の業務終了を前に残務整理をする小林社長(右)ら=流山市
崙書房社屋1階の倉庫。書棚には書籍刊行を伝える新聞記事のコピーが貼られている
崙書房社屋1階の倉庫。書棚には書籍刊行を伝える新聞記事のコピーが貼られている

 1970年創業の地方出版社、崙(ろん)書房出版(流山市)が7月末で業務を終え、会社を解散することが分かった。地域の歴史や文化に光を当てた刊行物は千点近く。来年の50周年を目前にするなかでの幕切れとなった。解散を惜しむ有志の発案で同社の軌跡をたどる「ありがとう崙書房」展が6月20日から、市立森の図書館で開かれる。

 同社は地方出版の先駆けとして創業。江戸時代の文献「利根川図志」の復刻などから始まり、77年に「ふるさと文庫」を創刊。地域に根差した単行本の発刊を続けた。同文庫シリーズは2012年に200点を超えた。

 3代目社長の小林規一さん(72)は「地域の身近なテーマを本にして初版3千部を出せた時代があった。しかし(出版界を巡る状況の変化で)ここ10年で極端に減った」と説明。「存立基盤である読者や著者、街の書店が減少。最後まで悩んだが、後継者がいなかった」と声を落とした。

 書店や著者には5月初旬に報告。読者には6月末にホームページで知らせる。

 元新人物往来社社長の大出俊幸さん(82)=流山市=は「創意工夫し、身の回りの題材を後世に伝える本を出してきた。新聞や本を読む人が減る流れの中、出版界の宝がなくなるのは残念」と述べた。

 森の図書館での展示は7月20日まで(月曜休)。創業当時からの看板や出版活動の軌跡が分かる写真などを紹介するほか、利根川図志全6巻やふるさと文庫約200点なども並べる。

 展示に当たり、市内に住むノンフィクション作家の佐野真一さんは「千葉の良心が いや、日本の良心が 静かに消えた」とのメッセージを寄せた。

 小林社長は「自分の住んでいる地域に興味を持ち、知る面白さが出てくれば地域への誇りが生まれる。そのための出版活動だった」と振り返った。