木更津のアサリ守れ 市内3漁協、試行錯誤で効果 干潟カモ食害 【地方発ワイド】

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干潟の上にカモよけのテグス(漁業用釣り糸)を張る漁協役員。周りには侵入防止の囲い網を設置してある=12日、木更津市
干潟の上にカモよけのテグス(漁業用釣り糸)を張る漁協役員。周りには侵入防止の囲い網を設置してある=12日、木更津市
潜水してアサリを食べるカモ(牛込漁協提供)
潜水してアサリを食べるカモ(牛込漁協提供)

 潮干狩り場や漁場のアサリをスズガモの食害から守ろうと、木更津市内の3漁協が対策に乗り出している。ここ数年で被害が目立つようになり、各漁協は猟友会の協力を得てカモを追い払ったり、干潟の上にカモよけのテグス(漁業用の釣り糸)を張ったりと、あの手この手で木更津の大事な地域資源を守っている。

(かずさ支局・武内博志)

 「一昨年ぐらいから被害が出始めた。今、対策しないといけないのはカモ」。木更津漁協の榎本伸二専務理事(72)が説明する。

 スズガモは越冬のため秋から春に飛来し、潜水してアサリなどの貝類を採食する。昼夜を問わず一羽で1日数キロを食べるともいわれ、干潟が粉砕されたアサリの貝殻だらけになったこともあったという。

 以前はこれほどの被害はなかったといい、榎本さんは「カモのエサがなくなったからアサリを食べるようになったのか」と首をかしげる。

◆カメラで“犯人”特定

 当初、被害の原因がカモだという確証はなかったため、牛込漁協は昨年3月、確認のため水中に定点カメラを設置した。すると、カモが潜水して次々とアサリを食べる様子が映っていた。アサリが無くなる原因は水質や食害など複合的な要因が指摘されているが、その一因がカモだと判明した。

 「まさか砂の中のものまで食べるとは」(木更津漁協の担当者)。情報を共有した各漁協は対策を本格化。同漁協では昨年4月から、組合員2人体制で夜警を実施し、潮干狩り場のスピーカーで花火や金物の音を流してカモを追い払おうとしたが、すぐに慣れてしまった。

 江川漁協では同月から、潮干狩り場の上にカモよけのテグスを張り、回りにはクロダイの食害対策も兼ねて侵入防止の囲い網を巡らせ、効果を上げた。

◆新たな補助制度も

 再び越冬時期を迎えた昨年12月から今年1月には、木更津、江川、牛込の3漁協が、猟友会に船上から散弾銃を撃ってもらい、カモを追い払う対策に乗り出した。市と連携し、実施する時間や場所を関係機関と調整するなど安全には万全を期した。千葉県と市は、一定の効果があったとして新年度から、同対策を講じる漁協に費用を補助する新制度(予算183万円)を創設する方針だ。

 ただ、この取り組みでもしばらくするとカモが戻ってきてしまう。効果が限定的だった木更津漁協では1月から、江川漁協が昨春から始めたカモよけのテグスと囲い網を導入し、被害を減らしているという。

 木更津の味と春の風物詩を堪能してもらおうと、対策に余念がない各漁協。本格的な潮干狩りシーズンの到来を受け、担当者は「対策の効果でアサリは守られている。順調に育っているのでぜひ来てほしい」と呼び掛けている。