木更津を「橘(タチバナ)」の聖地に 伝説生かし食のまちづくり 市観光協会が試食会

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タチバナを使ったメニューが提供された試食会=20日、木更津市
タチバナを使ったメニューが提供された試食会=20日、木更津市
試食会で提供されたタチバナを使ったメニュー
試食会で提供されたタチバナを使ったメニュー

 弟橘媛(おとたちばなひめ)の伝説が残る木更津市で、日本固有の果樹「タチバナ」を生かした食のまちづくりが始まった。かんきつ類のタチバナを使った料理を市内の飲食店で提供し、耕作放棄地などへの植樹を進めて木更津を「タチバナの聖地」にする計画だ。

 計画を進めているのは、木更津市観光協会DMO推進事業部と市内の飲食関連事業者。木更津には、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征した際に今の東京湾で嵐に遭い、妻の弟橘媛が海に身を投じて嵐を鎮めた神話がある。

 尊が媛をしのんでこの地を去らなかったことから、「きみさらず」が「木更津」の由来になったともいわれ、市内には媛を祭る吾妻神社やきみさらずタワーなどゆかりの地がある。

 同事業部などは、こうした伝説が残る木更津ならではの“ストーリー性”を前面に打ち出せるタチバナに着目。食料品の企画や製造を手がける「リオ」と市内で飲食店を展開する「ごはんクリエイト」と共同で事業を進めている。

 タチバナの実は直径約3センチと小さく商用には不向きとされるが、かんきつ類なのでスダチやライムのように料理に活用できるという。手始めに、ごはんクリエイトがタチバナを使ったメニューを開発した。

 同事業部は20日、市内のホテルや料亭、観光関係者ら15人を集めた試食会を開き、開発した「橘の本ビノスチャウダーパン」や「橘クリームパスタ」など11種類のメニューを提供。タチバナを初めて食べた参加者から「こんなに口の中が爽やかになるのか」との声が上がるなど好評だった。

 ごはんクリエイトの野口利一さんは「アクセントを効かせられる。ユズなら各地にあるが、タチバナならオリジナル性を追求できる」と説明する。

 同事業部は来年度から、タチバナを使った料理を扱う飲食店を募集。タチバナは数が少ないため、参加店がリレー方式でメニューを提供し、SNSなどで情報を拡散する考えだ。加工品の開発なども進めるほか、市内の耕作放棄地でタチバナを栽培してもらい、「売れるものを作る」仕組みを構築したいという。

 試食会で事業計画を説明したリオの市川正秀さんは「今は少ないタチバナを木更津で産地化したい」と展望。日本固有の果樹を盛んに活用する地域として、木更津をタチバナの聖地にしたいと意気込んでいる。観光協会の野口義信会長は「これをきっかけに木更津にたくさんの人が来てくれれば」と期待した。