「房総の牧」日本遺産申請へ 酒々井主導で6市町合意 馬をテーマに観光振興図る

  • LINEで送る

江戸時代に県内に置かれた「小金牧」「佐倉牧」「嶺岡牧」の分布図(酒々井町提供)
江戸時代に県内に置かれた「小金牧」「佐倉牧」「嶺岡牧」の分布図(酒々井町提供)

 八街、香取、鎌ケ谷、柏、鴨川市と酒々井町の5市1町が、馬の牧場として江戸幕府が県内に置いた牧(まき)をテーマとした「房総の牧」を、文化庁の日本遺産に共同申請することで合意したことが4日、分かった。来年1月に申請し、5月中の認定を目指す。認定されれば「北総四都市江戸紀行」(佐倉、成田、香取、銚子の4市)に続いて県内2例目の日本遺産となり、観光振興に弾みがつきそうだ。

 申請への合意は、酒々井町の呼び掛けで実現。幕府は小金牧、佐倉牧、嶺岡牧の県内3カ所の計約500平方キロで軍馬の飼育や繁殖を推進し、幕末頃には計約5千頭がいた。同町は佐倉牧の一部を管理した野馬会所が設けられるなど「馬牧の町」だった。

 また、馬を大切にした戦国大名・千葉氏の居城、本佐倉城跡が町内にあり、2016年から毎年、当時の祭礼を再現する「酒々井・千葉氏まつり」を開いて競馬(きそいうま)などを実施。こうした歴史遺産の有効活用を図るため、関連自治体とともに日本遺産申請の可能性を探っていた。

 同町によると、申請タイトルは「房総の牧 大地を駆け抜けた馬と近代農業揺籃(ようらん)の地」。日本有数の房総武士団は、平安時代から戦国まで房総で育まれた馬にまたがり歴史を駆け抜けていき、幕府が房総に置いた牧は風土に合わせて独特の営みや景観を生み出していった-というストーリー。近代以降、牧が開墾されてナシやスイカ、落花生の全国有数の産地となったことや、嶺岡牧が日本の酪農発祥の地になったことなど、「農業王国千葉」の礎となったことも盛り込んでいる。

 現在県内に乗馬クラブが多く存在するのも牧の名残といい、国統計では14年の本県の乗用馬数は1368頭と全国トップだ。

 構成文化財は、馬を集めて捕獲する場所「捕込(とっこめ)」や牧の境界を形成する「野馬土手」の跡が残る下総小金中野牧跡(鎌ケ谷市、国指定史跡)や、小間子牧野馬捕込跡(八街市)、小金牧を管理した牧士(もくし)が住んだ旧吉田家住宅(柏市、国重要文化財)など60件を超す見込み。

 同町の担当者は「馬や農業をテーマにした日本遺産はほとんどなく、独自性があると思う。例えば、森林や田園地帯を歩く小道の『フットパス』散策や乗馬トレッキングなどの体験型観光も組み合わせ、訪日観光客にアピールできる内容にブラッシュアップできれば」と話している。

◇日本遺産 地域に根差した文化財の魅力を高め、観光資源に活用してもらうため文化庁が2015年度に認定を始めた。寺社や城郭、祭りや伝統工芸など、地域の文化財や歴史にまつわる「ストーリー」が認定対象で、地域ブランド力の向上や観光振興を促すことが狙い。同庁は東京五輪・パラリンピックが開かれる20年までに100件程度を認定する方針で、現在67件が認定されている。