花のような?ゴカイ ケヤリムシ 【海の紳士録】

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 ヘビやミミズなど、細長い生きものを嫌う人がいる。海では、ミミズの親戚といえるゴカイ類がその代表格だろうか。釣りの餌として使われるが、どうしても苦手という人も多いようだ。しかし、ゴカイのなかまには非常に多くの種類がいて、その姿もさまざまである。

 磯を歩いていると、水の中にふさふさした花のようなものが見えることがある。近づくと、柔らかい管の中にすっと隠れてしまう。これがケヤリムシである。泥などを粘液で固めて作った管の中に定住している。花のように見える部分は鰓冠(さいかん)といい、水中の浮遊物を餌として摂ったり、呼吸をするために使われている。鰓冠の色は褐色系で個体差があるが、海の博物館周辺では暗いピンク色の個体が多いように思う。美麗な色彩のケヤリムシのなかまは、水槽飼育用に販売もされている。

 ケヤリムシの名は、大名行列などに登場する「毛槍」にちなんでいる。古くは「ウミフデ(海筆)」ともよばれていたようである。毛槍にせよ筆にせよ、細長い管の先端に鰓冠が花開くケヤリムシの姿から連想されたのであろう。

 しかし、実は管の中にあるケヤリムシの体の部分は、普通のゴカイのような細長い形をしている。でも、生きている時には見えないわけだし、あまり嫌わないであげてほしいと思う。(千葉県立中央博物館分館海の博物館 村田明久)