“街のシンボル”に別れ 最終日1000人が行列 伊勢丹松戸店閉店

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43年11カ月の歴史に幕を閉じた伊勢丹松戸店。午後7時半、最後のお客を見送り、店の前で行われたセレモニーで、橋淳央店長(中央)が「43年間のご愛顧ありがとうございます」と感謝を述べた=21日、松戸市
最終日、買い物客で混雑する店内=21日、松戸市の伊勢丹松戸店

 百貨店の伊勢丹松戸店(松戸市)が21日、閉店した。同市に残る最後の百貨店としてJR松戸駅前のにぎわいをけん引し、街のシンボルとして親しまれた同店には最終日、別れを惜しむ多くの買い物客が殺到。43年11カ月の歴史に幕を閉じた。

 同店は1974年4月に開店。地上11階、地下1階の本館と、95年にオープンした地上9階の新館からなり、売り場面積は約3万1千平方メートルを誇る。

 ピーク時の96年度には336億円を売り上げたが、郊外型ショッピングセンターの進出やインターネット通販の拡大などで消費者の買い物スタイルが変化し、昨年度は181億円まで減少。近年は同店の撤退を心配する声が上がっていた。

 市はフロアの一部を賃借して市機関を移転する救済策を考えたが、議会の賛同を得られず、昨年9月、三越伊勢丹ホールディングス(HD)が同店の閉店を発表した。

 この日は、冷たい雨が降りしきる中、最後の開店を待つ約千人の行列ができ、急きょ、開店時間が10分早められた。

 近くで生まれ育ち、開店当時から同店を知る女性(49)は「小学校卒業式の服を買ったのが思い出される。地域密着の地元のデパートがなくなるのは寂しい」と残念がった。

 橋淳央店長は閉店にあたり「買い物の場を提供できなくなることに社会的な責任を感じる。胸が痛む半面、ここまでかわいがってくれたことがうれしい」と話した。お客が店への思いを記した1万枚の「サクラカード」は松戸神社に奉納するという。

 同店ビルは別の会社の所有で後利用は未定。市は新年度予算にテナント誘致の予算を計上して、街のにぎわいの維持を図りたい意向だ。