終活支援へ千葉市本腰 千葉県内初、民間と連携 “超高齢化”見据え 【地方発ワイド】

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千葉市あんしんケアセンター職員向けに開かれたエンディング相談研修会。職員らはイオンライフ社員の説明に真剣に耳を傾けた=今月14日、千葉市総合保健医療センター

 延命治療や身辺整理、葬儀、相続などの希望をまとめて、人生の最期に備える「終活」。千葉市は1月から「エンディングサポート(終活支援)」に本腰を入れる。超高齢化社会に向かう中、民間の専門企業と連携した上で、正確な情報の提供や選択肢の提示などを行い、終活に対する市民の疑問や不安の解消を目指す。「終活は今をより良く生きることにつながる」と市の担当者は力説。行政の終活支援は千葉県内初めて。全国の政令指定都市でも例がないとされ、新たな行政の“挑戦”に関心が集まる。

 (千葉市政部 加藤優、藤田泰彰)

 市内に30カ所ある市の「あんしんケアセンター(地域包括支援センター)」。介護や福祉、医療など高齢者のよろず相談窓口になっている。最近、増えているのが終活に関する相談だ。独居の高齢者を中心に「葬儀が心配」「跡継ぎがいないので墓を整理したい」などの相談が寄せられている。

 市によると、市の今年9月現在の高齢化率は25・3%。10年前の2007年の17・8%に比べて大幅にアップしている。高齢化率は今後も上昇を続け、市の推計では45年ごろには40%台に達する。

 独居の高齢者も増加するとみられ「終活関連の相談はこれから増える。終活支援は喫緊の課題」(市地域包括ケア推進課)。市は協働事業提案制度を通じて終活支援の取り組みを提案してきた終活支援サービス業「イオンライフ」(千葉市美浜区)と11月に協定を結び、1月4日から同センターの窓口や電話で本格的に終活に関する相談を受け付けることになった。

◆短時間で、正確情報

 相談内容によっては、相談対応の職員が同社のコールセンターに照会し、相談者に回答。希望があれば相談者がコールセンターと直接やり取りする橋渡しも行う。同課の富田薫課長は「正確な情報を短時間で市民に伝えることができる」と利点を強調した。

 同社マーケティング部の関口裕章部長は「終活で市民が悩んでいると聞いた。市も相談先を市民に紹介できず困っているようなので、地元企業と連携して市民の不安解消に役立ちたい」と語る。相談が多ければ、専用の回線や窓口の設置も検討するという。

 相談開始に先立つ今月14日、市は同職員向けに講習会を開催。同社の終活カウンセラーが、終活相談の心構えから遺言や相続の法的な手続きまでを解説した。

 受講した「市あんしんケアセンター桜木」の赤間美恵子さん(67)は「人生の最期の前後に必要なことがイメージできた。死について話すことをタブー視せずに、事前に選択しておく大切さを市民に伝えていきたい」と感想を口にした。

 「同中央」の谷口さなえさん(41)は、食べ物や洋服など支援対象者の好みが分からずに困った経験があるという。「いざという時に困らないように、元気なうちから準備する必要性を啓発したい」と話した。

◆選択肢増やす

 市は相談対応だけではなく、終末期医療などをテーマにした小規模講演会を地区ごとに開催。2月には医療関係者や介護事業者、企業、NPOをメンバーとする検討会を立ち上げ、終活支援の課題や必要な施策などを話し合う。協働事業先も増やしていきたい意向だ。

 「人生の最期への備えを万全にして、今をより良く生きてほしい」と富田課長。その一方で「行政として特定の方向に市民を誘導することはない。選択肢を増やすことで、市民の希望や価値観に寄り添いたい」と述べる。人生の最期をどう迎えるかは極めて個人的でデリケートな問題。市民ニーズを探りながら、行政としてどこまで踏み込むか慎重な対応が求められそうだ。

◇親から話すべき

 終末期医療などに詳しい千葉大の高林克日己名誉教授の話 「延命医療をどうするかなど自分の最期を考えることは、自分らしい生き方を考えていくことになる。事前に意思表示をしておくことは重要だ。ただ自分一人で決めずに、家族と相談して意思を家族に託してほしい。子どもからは聞きにくいので、親から話すべき。市の事業などを通じて、事前の意思表示への意識や理解が広まることを期待したい」