保護理解も配分再考を 漁獲規制で勝浦マグロ漁師“悲鳴” 収入激減、泣く泣く船解体 【地方発ワイド】

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漁船は港に係留しておくと維持費が掛かるため、廃業した漁師は転売を待てずに解体した=勝浦市(提供写真)
漁船は港に係留しておくと維持費が掛かるため、廃業した漁師は転売を待てずに解体した=勝浦市(提供写真)

 重さ30キロ未満のクロマグロの漁獲量が規制されて1年がたち、勝浦市内で漁師の廃業が相次いでいる。中には漁船を維持するのも困難なため解体しているケースもある。漁獲枠が少な過ぎ、収入が激減し、規制解除の見通しも立たないためだ。新勝浦市漁協の渡邉幸治組合長は「規制が小型船を廃業に追い込んでいる。漁獲量の上限の割り振りを再考してもらいたい」と語気強く訴えている。

(勝浦支局 廣田和広)

 千葉県内の小型クロマグロ漁は年によって水揚げ量に幅がある。2003~12年までは、最少が03年の5トン、最高は07年の290トンだった。

 専門にする男性漁師は、「不漁の年を我慢し大漁の年を待ってきた」と振り返る。昨期は“当たり”だったが、漁獲規制の上限に達して断念。「収入の道が絶たれた」と頭を抱える。

 同漁協によると、太平洋クロマグロは資源の減少が懸念され16年7月、漁獲規制が始まった。今年7月~18年6月、30キロ未満の漁獲量は国全体で4007トン。県内の小型漁船の割り当て分は38・8トンで、内訳は銚子地域10・4トン(銚子市-大網白里市)、夷隅地域18・9トン(白子町-勝浦市)、安房地域9・5トン(鴨川市-富津市)。

◆この1年で3人

 勝浦市内の小型漁船の漁師は、昔から秋に沖合20キロ未満まで南下してくる3~4キロの小型クロマグロを狙ってきた。漁船数は約100隻。このうち約20隻が専門となる。1キロ当たり千~1500円の値が付く。しかし、今回の割り当て分では地域全体で多くても2800万円ほどの水揚げ額にしかならず、漁船数で割ると経営が成り立たない。

 この1年で影響を受けた3人が漁師を辞めた。漁船は出船しなくてもメンテナンス費や保険、組合費など維持費がかかることから、取り壊す事例も出ている。さらに数人が廃業を考えているとみられる。隣の鴨川市でも廃業の動きが進む。すでに1人が決断し、5人が検討しているという。

◆水揚げ5分の1

 県沿岸小型漁船漁協の鈴木正男組合長は、そもそも漁獲枠の決め方に異議を唱える。例えば07年からの5年間の漁獲量は計964トン。今回の規制枠全てを使って5年間操業しても194トンと5分の1にしかならない計算だ。規制について水産庁の資料では、「02~04年までの平均漁獲水準から半減する措置」となっているが、鈴木組合長は「なぜ(県内の漁獲量が少ない)この期間を基礎にしたのか分からない」と憤る。

 勝浦市の小型漁船は引き縄漁。疑似餌を付けた縄を一度に4本ほど海に流し、かかったら手でたぐる。「30~40匹も釣れれば上々」(専門漁師)で環境に優しいとされる。小型マグロ以外を狙うとしても、漁具の設備投資のほか、知識や技術の習得が必要だ。収入が見込めない今、漁師たちはクロマグロ漁を続けるか辞めるかのジレンマに陥っている。

 国が定めた漁獲枠の半分は大中巻き網漁船が占めるため、約2千トンが全国津々浦々の小型漁船分になる。渡邉組合長は「資源保護は反対しない」と、一定の理解を示しつつ、「大型船と小型船の上限の割り振りを考えてもらいたい」と見直しを求めている。