<インタビュー> 「男役、最後まで追求したい」 今月退団する宝塚星組トップスター 松戸市出身・北翔海莉さん

 宝塚歌劇団星組トップスターの北翔海莉さん=松戸市出身=が今月、惜しまれつつ退団する。歌、踊り、芝居の3拍子そろった男役の中の男役。ラスト公演の千秋楽が近づく中、北翔さんに宝塚に懸けたこれまでの日々やファンへの感謝の思いを聞いた。

 (聞き手は文化部・日暮耕一)

 -宝塚でのステージも残りわずかとなりました。今の心境は。

 最後の公演で満足して終わるのではなく、実は今も毎回の終演後にはまだまだ挑戦したい気持ちの自分がいるんです。芸事のパフォーマーとしてこの気持ちは千秋楽までなくならないのではないか。宝塚の男役の北翔海莉を最後の最後まで追求したい。

 -退団を決めた理由は。

 トップ就任の話があった時に大劇場公演は3作までと自分の中で決めて、劇団にもそう伝えました。トップのポジションにうぬぼれることなく、自分ができる最高のものを出すためには期間を区切って集中してやる方がいいと。それと後輩たちにもたくさんのチャンスが訪れるようにしたいという思いもありました。

 -初舞台から今年で19年目。長いキャリアの中で紆余(うよ)曲折あったそうですね。

 組替えがあったり(特定の組に所属しない)専科に配属になったりして、さまざまな出会いがあり、学ぶことも多かったです。2014年の宝塚100周年の年には専科にいて(花・月・雪・星・宙の)5組全ての舞台に立ち合えた。他の人にはない経験をさせてもらいました。

 -退団公演「桜華に舞え-SAMURAI The FINAL」の主人公・桐野利秋のキャラクターは北翔さんに重なる部分がありそうですね。

 いろいろな男の役にめぐり合ってきましたが、桐野が自分に最も近い、最も納得できる男だと思います。「義」を貫き通す桐野の純粋さや侍精神のようなものを自分の体を通して伝えていきたい。剣術のパフォーマンスも見どころです。

 -今後の活動は。

 応援してくださったファンのためにも舞台のエンターテイナーとして活動していきたい。

 -松戸観光特命大使としても活躍。地元の松戸市の良さは。

 松戸は東京から近いのにのどかな所がいいですね。私も子どもの頃は畑仕事をよくしていました。漬け物も自分で作ったり。観光名所では戸定邸が特に好きです。建物だけでなく空間自体に品格のようなものを感じます。

 -最後にファンへのメッセージを。

 現在宝塚歌劇団には400人ぐらい生徒(劇団員)がいますが、私の存在なんて400分の1ですよね。そんな中で北翔海莉という舞台人を見つけていただいたことにただただ感謝したい。つらい時期の一番の支えはファンからの応援でした。ファンの方々に「(ここまで来ることができたのは)あなたのおかげです」と言いたいですね。

◆「桜華に舞え」作品紹介

 【物語】幕末の世。薩摩藩士の中村半次郎(北翔海莉)は剣術の稽古に日々励んでいた。ある日、地元の豪傑西郷隆盛と知り合い、その人物の大きさに心酔。半次郎は西郷が目指す新しい国づくりに人生を懸けることを決意し、幕末の動乱期に数々の武勲を立てる。

 時は明治となり、半次郎は名を桐野利秋と改めて陸軍少将の任に就いていた。忙しい日々の合間、利秋は医学を学ぶために上京してきた会津藩出身の娘・大谷吹優(妃海風)の元を度々訪れる。実は彼女とは深い因縁があった。それを吹優は知らない。

 やがて朝鮮出兵を巡り大久保利通らと意見が分かれた西郷は鹿児島に下野。利秋も一緒に故郷に戻る。士族の不満が渦巻く中、ついに西南戦争が勃発する…。

 【鑑賞ポイント】開幕早々からダイナミックな殺陣のシーンで舞台を彩る。全体的に雄々しい作品だが随所に笑いの場面も交え、芝居巧者・北翔の面目躍如。着物から軍服姿になっても「義」を重んじる利秋の変わらない侍魂の発露がドラマの要。“最後の侍”として西南戦争で華々しく散る利秋の姿に北翔自身の宝塚との別れを重ねている。第1部「桜華に舞え-SAMURAI The FINAL-」の後に、第2部のレビュー「ロマンス!!」が上演される。

 【メモ】20日まで東京宝塚劇場(有楽町)で上演。

◇北翔海莉(ほくしょう・かいり)

 松戸市出身。1998年に「シトラスの風」で初舞台。月組、宙組を経て、特定の組に所属しない専科に異動。その後、2015年に星組トップスターに就任した。12年に同市から松戸観光特命大使に委嘱される。愛称は「みっちゃん」


  • LINEで送る