踊る掃除共生エビ オドリカクレエビ 【海の紳士録】

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 テナガエビ科カクレエビ亜科を構成するエビ類は、日本から約120種が知られており、その多くがカイメンやイソギンチャク、サンゴ、ウニ、ヒトデなどのさまざまな無脊椎動物と共生する。ほとんどの種類は、共生相手となる動物の体の上で目立たないように暮らしており、その名のとおり「隠れ」ているようだが、中には名前とはうらはらに大変よく目立つカクレエビもいる。そのうちのひとつがオドリカクレエビである。

 オドリカクレエビは体長3センチほどのエビで、イソギンチャクやハナギンチャクなどの刺胞動物に共生するが、そのそばで体を揺らしている。その動きは時に激しく、まるで踊っているようなのでこのような名前が付けられているのだが、この踊りには意味があると考えられている。オドリカクレエビはイソギンチャク類と共生するだけでなく、魚の体の寄生虫を取り除く掃除エビでもある。掃除してほしい魚が、オドリカクレエビが暮らすイソギンチャクに近づいてくると、エビは魚の体に飛び移り、掃除を開始する。そして、掃除が終わるとイソギンチャクへと戻って行く。普通、この大きさのエビは魚にとって格好の餌である。しかし、オドリカクレエビは独特のダンスをすることによって、掃除エビであることを誇示し、魚の餌になることを避けるばかりでなく、寄生虫という餌にもありついている。

 5月9日まで開催されている海の博物館の企画展示「海の生きものの共生」では、オドリカクレエエビとその類似種を、標本や模型、映像を使って紹介しているコーナーを設けている。是非、ご覧いただきたい。(千葉県立中央博物館分館海の博物館 奥野淳兒)