乾海苔の代名詞 アサクサノリ 【海の紳士録】

  • LINEで送る

 海苔というと「浅草海苔」を思い浮かべる方も多いだろう。浅草海苔は乾海苔の代名詞として有名だが、そのものずばり「アサクサノリ」という種類がある。古く江戸時代から養殖が行われているノリが、明治になって紅藻アマノリ属のアサクサノリという種類として認められたのである。

 アサクサノリは、東京湾のような内湾など波静かな場所の河口付近の干潟に生育し、日本全国に分布する。おそらく昔は全国に河口付近の干潟という場所はたくさんあったのだろう。しかし、時代とともに開発が進み、そのような場所は少なくなってしまった。それに合わせるようにアサクサノリも減少した。

 さらに、ノリ養殖の対象種が、乾海苔にすると黒くて良い製品になる同属のスサビノリに変わり、養殖でも使われなくなった。結果、現在ではアサクサノリは絶滅危惧種となっている。

 1998年から調査を行い全国約15カ所でアサクサノリ生育地を確認できたが、千葉県では確認できていなかった。ようやく2004年以降、2カ所で確認することができた。浦安市の東京ディズニーランドのすぐ横の旧江戸川河口と九十九里浜に注ぐ一宮川河口に隣接する潟湖(せきこ)内である。共に、生育量は少なく、ちょっとした工事などでアサクサノリが消滅してしまう可能性のある小規模な生育地と言える。千葉県内の貴重な自然の残る場所として保全していく必要がある。(千葉県立中央博物館分館海の博物館 菊地則雄)