処分場計画に疑問噴出 膠着する指定廃棄物問題 千葉市<上> 【回顧2015年 取材メモから】

環境省の説明会終了後、候補地選定に納得のいかない市民たちが職員に詰め寄った=7月20日、千葉市中央区問屋町
環境省の説明会終了後、候補地選定に納得のいかない市民たちが職員に詰め寄った=7月20日、千葉市中央区問屋町

 「寝耳に水だ」「国のやり方は唐突過ぎる」

 東京電力福島第1原発事故に伴い県内で発生した放射性物質を含む指定廃棄物計約3700トンの処分場候補地に、東電千葉火力発電所(千葉市中央区蘇我町)の敷地を環境省が選定したことが明らかになった4月17日、県都に動揺が走った。

 当時の環境副大臣、小里泰弘氏が同24日、熊谷俊人市長に選定を伝達。その際、小里氏は「丁寧な説明を行う努力をせず詳細調査を進めることはない」と約束した。

 「丁寧な説明」の最も大規模な場となったのは、市民約740人が参加した7月20日の説明会。だが、白紙撤回を求める声が相次ぎ、市民と同省の間の溝の深さが浮き彫りになった。

 同省は県内683カ所を対象に「生活空間との距離」「水源との距離」など4項目を基準に点数化して選定したと説明。しかし、候補地が埋め立て地であることや、海に近いこと、他市に比べ廃棄物量が7・7トンと少ない千葉市が選ばれたことなどについて、疑問の声が噴出した。

 こうした状況を受け、熊谷市長の姿勢にも変化が表れてきた。当初「検証せず頭から『自分の町だけは嫌だ』とは言えない」として受け入れへの態度を留保。「市町村長会議の議論を理解しなければならない」として、県内10市で保管されている廃棄物の「1カ所集約」も支持してきた。

 しかし、市議会が6月、各排出自治体での分散保管に向けて再協議を求める決議を可決すると、「(決議を)尊重する」として同調。市民説明会後の7月23日の定例記者会見では「基本的に終わった話」とし、今後説明会を開く必要はないとの考えを示した。

 「(詳細調査を)受け入れることはできない」。選定から7カ月を過ぎた今月14日、市や市議会の再協議要請に対し「1カ所集約の方針を堅持する」と回答した井上信治副大臣に、熊谷市長はきっぱりと拒否の意思を伝えた。市民の意見が考慮されていないことや選定経緯に関する情報開示が十分でないことなどを理由に挙げた。副大臣は今後の対話の継続を求めたが、市長は「これが最終回答」と突き放した。

 一方、廃棄物を保管する他9市の大半は1カ所集約を求める立場。「国の定めた方針は根幹的な約束事。早期の長期管理施設の確保を願う」。県内最多の1063トンを保管する柏市の秋山浩保市長は、そうコメントした。

 完全に膠着(こうちゃく)状態に陥った処分場問題。原発事故から5年近くが経過し、保管を続ける各市からは国が責任を持って処分するよう求める声が高まっている。市民の理解が得られぬまま現状の方針を維持するのか、それとも他の解決策を模索するのか。同省の今後の判断が注目される。

 (千葉市政部 平口亜土)


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