左右非対称のフジツボ ハナカゴ 【海の紳士録】

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 多くの動物は基本的に左右対称の外見をしている。とは言っても、左右対称ではない体を持つ動物もいる。代表的なのは、螺旋型の殻を持つ巻貝のなかまであろう。他にも巻貝の殻を利用するヤドカリ類や、ヒラメやカレイなどもいる。

 さて、ハナカゴ類も左右非対称の動物であるが、一般にはなじみが薄いであろう。日本近海では100メートル以深にしかおらず、目にする機会は少ない。固着性の甲殻類で、フジツボのなかまである。日本語ではハナカゴ(花籠か?)という優美な名を持つが、学名に使われるverrucaは疣(いぼ)を意味する。

 一般的な左右対称のフジツボは、4~8枚の周殻で富士山のような姿を形作る。頂上の火口にあたる部分に2種類のふたが左右1組、計4枚あり、動かして開閉することができる。しかし、ハナカゴ類では、左右どちらかのふた2枚が周殻となっており、片側のふたしか動かない。それに伴い全体の形もゆがんでおり、左右どちらかに傾いている。どちらが動くふたになるかは決まっていないそうである。さまざまな形の殻が組み合わされたその姿は、複雑で分かりにくい。

 多くの動物が左右対称なのは、その方が都合が良いからなのだろう。それにも関わらず左右非対称な動物がいるのはなぜなのか?くらし方がそれほど違わないのに、左右対称のフジツボと非対称のハナカゴがいるのはなぜなのか?考えてみると、とても不思議である。(千葉県立中央博物館分館海の博物館村田明久)