書と文学関係に焦点 文豪や歌人の直筆交え 書家の戦禍震災表現も 成田山書道美術館

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 成田市の成田山書道美術館で「収蔵優品展~書における文学とは何か」が6月15日まで開かれている。夏目漱石や正岡子規、与謝野晶子といった文豪、歌人らの直筆書や、書家が心のうちを筆に乗せて表現した作品など約30点を展示。文章表現との距離感を突き詰めた前衛書もあり、古来より密接だった文学と書の関係を多角的に紹介している。

 文人の書や詩歌、書簡を展示するコーナーでは、他に尾崎紅葉、島崎藤村、高浜虚子、河東碧梧桐、川端康成、尾上紫舟、若山牧水らの直筆を見ることができる。短歌や俳句の創作は筆と一体であることをあらためて感じさせたり、書の技法への探究心も深かった文豪の姿が垣間見える。

 「こころのかたち」と題したコーナーで目を引くのは本県出身の書家、千代倉桜舟(1912~99)の作品。太平洋戦争の空襲で焼死した母の姿を記した宗左近の詩を朱墨で訴えかけるように表現。自身もシベリア抑留を経験した桜舟の戦争犠牲者への特別な思いをうかがわせるという。現代の書家が東日本大震災を文字で描写した作品もある。

 中国・唐代の詩人、杜甫の「飲中八仙歌」が題材の作品は6種類用意。書家の作風の違いが比較できる。

 成田山新勝寺奥の成田山公園内にある同館は午前9時~午後4時(最終入館午後3時半)に開館。月曜は休館。問い合わせは、電話0476(24)0774。

◆県書道協会展も同時に
 同展は、61回目を迎えた県書道協会展(千葉日報社など後援)と同時開催で、会期中は入館無料となる。6月8日午後1時40分からは、同協会顧問の岩波白鵬氏が「書によって救われた私」と題して講演する。