何度も行きたい! いちはらアート×ミックス<3>

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【7.いちはら人生劇場】
 いくつもの廃校が会場として活用されているアートミックス。2013年3月に廃校になったばかりの旧白鳥小学校は「人生劇場」をテーマとする(サムネイル写真1~12 ※右側の写真とは別に、記事下のサムネイル写真をクリックすると、それぞれ拡大できます)。指輪ホテルの演劇を見た人なら、終着地点の上総大久保駅から歩いてすぐの場所だ。

 各教室がアート作品であふれているのはもちろんだが、校庭でも、毎週土曜日に「おにぎりのための、毎週運動会」が開かれている。参加者は鑑賞者たち。午前11時から選手宣誓、ラジオ体操に始まり、玉入れ、大玉転がし、綱引き――と定番の運動会プログラムで汗を流す。そして、何より肝心なのは、最後にみんなで「おにぎり」を食べること。

 主催するアーティストのEAT&ART TAROさんは「おいしいシチュエーションを作る作品」と説明する(サムネイル写真13、14)。「おにぎりは普通のおにぎりです。でも、シチュエーションによって味に違いが出てくることを体感してもらいます」。おにぎりは500円で食べ放題。スタッフによると、おいしすぎて10個食べた人もいたそうだ。

 すぐそばの「里山芸術劇場」(白鳥公民館)は演劇の拠点として位置づけられており、会期中、演劇や舞踊音楽劇が上演されている。ゴールデンウイーク中の5月5日にも、「キネマと音楽の夕べ in いちはら」が予定されている(→公式サイト)。

【8.月出工舎】
 都会の喧噪から離れた里山を舞台にした芸術祭会場の中で、旧月出小学校はさらに他の作品群から離れた位置にある。周遊バスでは「月出ルート」を利用。地区の大半が高齢世帯といい、過疎地域の課題解決を掲げる芸術祭への期待は大きい。

 月出工舎の名前からうかがえる通り、この会場は「ものづくりファクトリー」の位置づけ。芸術祭期間だけでなく10年後を見据えた長期運営を想定しており、新しい世界観の創生を目指している。千葉県出身アーティスト、岩間賢さんが総合ディレクターを務め、校舎内では「遊・学・匠・食」をテーマに4つのプロジェクトを展開している(サムネイル写真16~28)。

 来場者をまず迎えるのは、巨大な土壁。校舎改修にあたり、塩月洋生さんが、地元の泥とわら、ゾウのふんを使って制作した。

 校庭には、チョウハシトオルさんの「火処」が建設された。大きな屋根の下、かまどを配置。オープンキッチンでの調理を通じて、人との自然の関係について考える。会期中はワークショップの他、石焼き芋販売や窯焼きピザ体験が行われている。

 廃校になる前、ほとんど使われなかったというプールには、岡博美さんの染織技術を活用したインスタレーション作品「光がつくる世界」が広がり、校舎3階には染工房を開設。1階職員室だった場所には女性2人組ユニット「風景と食設計室ホー」がカフェ「月と団子」を開店して、地元の米粉を使った自家製団子を提供している。

 「プロセスを大事にする作家に来てもらった」と話す岩間さん。2階の各教室には、ドイツから竹村京さんと田中奈緒子さん、中国からシャオ・ミンさんを招き、彼らが市原で滞在制作した作品を展示している。

【おわりに】
 アートツーリズムを定着させた立役者、北川フラム氏を総合ディレクターに迎えた「中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス」。編集部は「大地の芸術祭」(新潟県)、「瀬戸内国際芸術祭」(香川県)も見て回っているが、2つの芸術祭に比べると、都心からのアクセスが良く、市原という1地域に会場を絞ってコンパクトに日帰り鑑賞できる点が、アートミックスの特徴だ。

 廃校を利用する手法は踏襲しながらも、ローカル鉄道を会場の一部とするなど市原ならではの取り組みも多い。「晴れたら市原、行こう!」を合い言葉に、ゴールデンウイークは是非、市原に足を運んで里山いっぱいに広がるアートを満喫して欲しい。

 

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