漁業支える海中林つくる カジメ 【海の紳士録】

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 「かじめ」という海藻の名前を聞いたことのある方は多いと思う。房総で一般に「かじめ」と呼ばれるものには、少なくともカジメ、クロメ、アラメの3種が混じっていると思われる。

 どれも褐藻のコンブの仲間で、高さ1~2メートルになる。それぞれ根のような部分(仮根)から茎のような部分(茎状部)が伸びて、その先に葉のような部分(葉状部)がたくさん付いている、「はたき」のような形をしている。カジメは茎状部の上部が平たくなり、その両脇から葉状部が出ており、葉面にしわがない。クロメはカジメと同じような形で葉面にしわがある。アラメは、茎状部の上部が二叉分岐し、それぞれの先から葉状部が出ており、葉面にしわがある。

 これらの3種は、潮間帯下部から水深20メートルくらいの岩礁域に、大きな群落を作る。その様子は林のような景観を示すため「海中林」と呼ばれている。特にカジメは、外房地方の水深5~20メートルくらいに大きな群落を作る。カジメ海中林は動物の住みかなどとして重要である。カジメの体にはタンニンが多く、人間が直接食用にすることはまれだが、流れ落ちた葉状部はアワビやサザエなどの藻食動物の重要なエサとなり、これらの漁業を支えている。

 近年温暖化による影響か、全国的にカジメなどの海中林は減少し、アワビなども減少している。千葉県では海中林の大規模な減少はまだ見られないようだが、今後どうなるか気になるところである。

 (千葉県立中央博物館分館海の博物館 菊地則雄)