”最後の1台”投映機「コスモくん」卒業式 船橋のプラネタリウム館 親しまれて36年 交換前にお別れイベント

投映機「コスモくん」のお別れイベント「卒業式」で、特別上映プログラムに見入る観覧者ら=18日夜、船橋市プラネタリウム館
投映機「コスモくん」のお別れイベント「卒業式」で、特別上映プログラムに見入る観覧者ら=18日夜、船橋市プラネタリウム館
コスモくん卒業式で、手を振って記念撮影する観覧者
コスモくん卒業式で、手を振って記念撮影する観覧者

 船橋市総合教育センター・プラネタリウム館で18日夜、「コスモくん」の愛称で開館から36年にわたり親しまれてきた投映機の「卒業式」が開かれた。来月、最新型機器への交換工事が始まるのを前に、約150人が集まり別れを告げた。残された音声に合わせて過去の投映を再現し、元職員や訪れた市民らの惜別のメッセージを公開。これまでの歩みを振り返り、最後はドーム内に大きな拍手がこだました。

 コスモくんと同じ「GN―AT型投映機」は1981年以降、全国で5台が生産されたが、現役で稼働する最後の1台になっていた。修理部品の調達が困難になることなどから、26日を最後に役目を終える。

 卒業式では、過去の投映を再現する企画が行われた。約25年前に小学生向けに行われた際の音声に合わせて現役の職員がコスモくんを操作。かつて市民たちが校外学習で体験した懐かしい投映を追体験した。

 このほか、ウクライナのハルキウにあるプラネタリウムで解説員を務め、日本に避難してきた女性によるウクライナ語での解説も披露された。最後に、コスモくんが稼働する最後の日である26日から翌27日にかけての空の様子を映写し、最後の星空が公開された。

 夫婦で訪れた江藤一彰さん(47)は「10年前からよく通ってきた。宇宙への夢を与えてくれて生きるエネルギーになった。お世話になりました」と感謝した。

 この日解説員を務めた斉藤美和さん(51)は「たくさんの人に来てもらえてよかった。新しい機器になっても親しんでもらえる場所にしたい」と話した。

 同館は1987年に開館。市内小学校の校外学習などで使われ、これまでに延べ約86万人が訪れた。コスモくんのレトロな雰囲気漂う外観もあり、ドラマやミュージックビデオの撮影ロケ地にも選ばれてきた。

 同館は26日の営業を最後に来月から長期休館となり、来年度中に再開する。投映できる星の数はコスモくんの約9千個に対し、新機器は約4千万個に上るという。機器交換後、コスモくんは同館で展示される。

 休館前の上映は、平日が予約団体のみ。一般公開は土・日曜だけで、25、26日の午前11時から(幼児向け)、午後1時半と3時半から(一般向け)。観覧料は一般500円、高校生250円、小中学生120円、幼児60円。船橋市在住の中学生以下は無料。問い合わせはプラネタリウム館(電話)047(422)7732。


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