魚養殖 陸でも容易に 水質管理 新技術、16年度事業化へ キッツ(千葉市美浜区) 【企業戦線】

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水中のアンモニアを浄化する「KITZ RECIRQUA」の試験装置
水中のアンモニアを浄化する「KITZ RECIRQUA」の試験装置

 バルブ大手のキッツ(千葉市美浜区)は、魚の養殖に用いる新しい水浄化技術「KITZ RECIRQUA(キッツ・リサクア)」を開発した。水槽内にたまるアンモニアなどの有害物質を、従来技術と比べ安定的・効率的に浄化でき、消費地に近い建物内での陸上養殖も可能となる。新技術を使った養殖システムの構築を進め、2016年度中の事業化を目指す。

 養殖水槽には魚から排せつされるアンモニアが蓄積し、生育に支障をきたすため無毒化する必要がある。現状、アンモニアを分解する細菌を培養して対応しているが、時間とスペースが必要なのに加え、細菌の管理にも手間がかかるのが課題だった。

 新技術は、養殖に使う水に活性酸素など複数の分子を化学反応させることで、アンモニアを窒素ガスと水に分解する。一つの装置で処理できるため、浄化にかかる時間が短縮。分解能力も装置のメンテナンスのみで維持できる。また分解だけでなく殺菌・脱臭も同時に行うため、魚の健康状態を保つ抗生物質や殺菌剤の投与を最小限に抑えられる。

 世界的な人口増と健康志向の高まりで魚の消費量は年々拡大しているが、天然魚の水揚げ量は頭打ち。その半面、養殖業は盛んになっており、海面養殖に比べ場所の制約を受けない、建物内などを使った陸上養殖が注目を集めている。

 新技術に対しては、既に国内外の養殖業者や商社から問い合わせが来ているという。同社は事業化に向け、新技術の信頼性向上や運用コスト削減を進めている。

 また、水質や装置の運転状態、餌の時間などを全てデータ化して水槽管理に活用する飼育システム「キッツスマート養殖」の構築も目指す。システムが完成すれば、遠隔監視による養殖場の一元管理で大幅なコスト削減が可能になる。

 同社事業開発部の岡田毅史部長は「半導体工場の跡地など建物内でも植物工場のような魚の養殖場ができるようになる。飼育システムを使えば、専門企業でなくても魚の養殖業への参入が容易となる」と新技術の魅力を語る。