2010年8月1日(日)
2008年10月14日11時11分
ATMに設置される見通しのものとほぼ同タイプの携帯電話制限装置。縦約30センチ、横約35センチ、厚さ約8センチで、壁に取り付けることもできる=千葉市中央区の千葉銀行本店ATM
振り込め詐欺被害抑止の切り札として、金融機関の現金自動預払機(ATM)コーナーで携帯電話の通話を制限する装置が、電波法の壁を乗り越え、県内で最初に運用できる見通しとなった。警察庁幹部が視察に来るほど注目が集まる水際対策。九月末までに県内で確認された被害額が十七億円を超え、過去最悪ペースが続いている現状に、県警は「歯止めをかけたい」と期待を込める。
これまで、あの手この手で振り込め詐欺への注意を呼び掛けてきた県警。携帯電話でATM操作を指示して現金を振り込ませるケースが多いことから、ATMで食い止める対策についても県内の金融機関と協議してきた。金融機関の協力を得て、ATM画面に振り込め詐欺多発を警告する表示を出したり、ポスターや旗を設置。利用客への声掛けも強化した。さらに、携帯電話の利用を控えるように呼び掛けるステッカーをATMに張るなどしてきたが、携帯電話で指示されて振り込んでしまう被害は続いていた。
“秘密兵器”として、注目が集まったのが、医療機関やコンサート会場に導入されていた携帯電話の使用制限装置だった。携帯電話の電波を別の電波で抑制することで“圏外状態にできる。これをATM対策に使えないかと考えた県警と千葉銀行は五月に、東京都内のメーカーに依頼。メーカーは医療用の制限装置を改良し、抑止電波の微調整を可能にした。ATMの一角に設置すれば、一〜二メートルの範囲内でATMを操作する客だけ携帯電話の電波が届かなくなり、順番待ちの客には影響が出ないという。
メーカーは千葉銀行のATMコーナーで電波の抑制範囲の検証を重ね、運用計画を総務省に提出した。同省は当初、不特定多数の人が利用する場所への設置に難色を示していたが、メーカー側によると、十一月中には認可がおりて運用開始できる見込み。
制御装置はレンタル方式になる予定で、料金は銀行側が負担する。千葉銀行広報部は「セキュリティーの一つで、利用客の安心感につながる。導入のノウハウを他行にも開示したい」としている。
県警が九月末までに認知した振り込め詐欺の被害は、前年同時期より三百七十三件増加して九百十六件。被害額は約五億九千万円増の約十七億二千万円に上っており、毎日約六百三十万円の被害が出ている。このうち、息子を装って示談金名目などで現金を振り込ませる「おれおれ詐欺」が五百六十件(前年同時期比百九十八件増)を占め、年金などの払い戻しを装い、ATMの操作を指示して現金を振り込ませる「還付金詐欺」の二百八十三件(同百八十五件増)が続いた。
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