千葉ラーメンの達人たち

■プロフィール
山路 力也(やまじ・りきや)
フードジャーナリスト・千葉拉麺通信主宰。著書にラーメンマップ千葉6など多数。千葉市在住。


懐かしさの中に光る斬新さ 麺処ゆきち(船橋市習志野台)

  • 0
  • LINEで送る

 長いあいだラーメン界では豚骨ラーメンのような白濁した「白湯(パイタン)スープ」のこってりとしたラーメンが人気だったが、ここ数年「清湯(チンタン)スープ」に注目が集まっている。清湯とは読んで字のごとく透き通ったスープのこと。そんなすっきりとしたラーメンを提供する店が、今年3月オープンした「麺処ゆきち」である。

 北習志野で生まれ育った店主の倉井賢史さんは、都内数軒の人気ラーメン店での修業を積んで地元で開業。あっさりからこってりまで、ラーメンのあらゆるスタイルを学んだ倉井さんが自分の店で看板メニューに据えたのは2種類の清湯醤油ラーメン。白湯と清湯であったり、醤油と塩という異なるラーメンを出す店は少なくないが、あっさりの醤油を2種類メニューに揃えているのは珍しい。これは地元に住む若者からお年寄りまで、幅広い年代の人達に満足してほしいという思いから。どちらのラーメンもベースとなるスープは鶏を用いたもので、化学調味料に頼ることなく丁寧に素材の旨味を抽出したもの。オリジナリティあふれる「醤油A」は、鶏に香味野菜を加えたスープにトマトを加えている。昔ながらのあっさりとした醤油ラーメンのようでいて、ほのかにトマトが下支えしている構造は、懐かしい味わいを感じさせながらも、今までにない斬新さが見える。これは新しい味に敏感な若い人たち向け。一方の「醤油B」は、鶏のスープに魚介を加えた和風の味わいで、昔ながらのラーメンを好む年輩客を意識した。

 オープンしてまだ4ケ月。駅からちょっと離れた場所の路地裏にある小さな店ながらも、口コミなどで地元でもじわじわと人気を集めている。他にも塩ラーメンは柑橘類の隠し味がふんわり香るさっぱりとした味わいで、鶏白湯ラーメンはチーズと黒コショウを効かせた個性的な一杯。まだまだ引き出しのあるご主人がこれから生み出す新しい味にも期待が高まる。

 【交通】新京成線、東葉高速線北習志野駅より徒歩5分。電話047(407)2739