千葉ラーメンの達人たち

■プロフィール
山路 力也(やまじ・りきや)
フードジャーナリスト・千葉拉麺通信主宰。著書にラーメンマップ千葉6など多数。千葉市在住。


料理人のプライドかけた一杯 らーめん親父の塩(習志野市津田沼)

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 ラーメンの味の中でも難しいとされるのが「塩ラーメン」。醤油や味噌と違って、スープや素材本来の味が出てしまうので、スープを作る高い技術と繊細なバランス感覚が問われるのがその理由だが、敢えてその塩の文字を店名に掲げて日々ラーメンと取り組んでいる店が京成津田沼の「親父の塩」だ。津田沼は県内でも有数のラーメン激戦区。そこに2010年オープン以降、地元客を中心に人気を呼んでいる。

 店主の今村徳男さんは、長年和食の世界で腕をならしたベテラン料理人。それまでの経験を生かして難しいとされる塩ラーメンを看板メニューに据えた。出汁の旨味と塩分とのバランスは「塩梅」と呼ばれるくらい、和食の世界でも重要なポイント。ベースとなるスープには鶏の首や手羽などを用いて力強い動物系の旨味を凝縮、さらに昆布やスルメイカなどを水出しした出汁をブレンドして魚介系の旨味を補完する。味を引き立てる塩ダレにはアンデスの塩など世界の天然塩を数種類使い、さらにはドライトマトを隠し味に潜ませた。スープの表面には焼き干しや魚節などの風味ある香味油をそっと浮かべた。スッキリしているのに吸引力が強い、旨味と香りの華麗なる融合を感じさせるスープ。そしてそこに塩の優しくかつキリッとした芯が一本入る。和食の技を用いながらもしっかりとラーメンに落し込んでいるのはさすが。麺は製麺所に特注したストレート麺でパシッとした食感が心地よく、スープとの相性もバッチリだ。

 さすが料理のプロが作る一杯はまったく死角なし、と感じる完成度ながら、「今日よりも明日、常に美味しさを追求していきたい」と語る店主。そのために日々素材の見直しや調理方法の改良にも余念がない。常に美味しくなり続けていくラーメン。親父の塩のラーメンは料理人生のプライドをかけた本気の一杯なのだ。

 【交通】京成線京成津田沼駅より徒歩3分。電話047(453)4228