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大躍進のあいみょん サブスク全盛期の時代に伝えたい「CDで届けることの大切さ」

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あいみょん(撮影/飯岡拓也)(C)oricon ME inc.

 「2018年、一番目立ったアーティストは?」という質問をした際、多くの人から名前が挙がるのが女性シンガーソングライター・あいみょんではないだろうか。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)『スッキリ』(日本テレビ系)、そして『NHK紅白歌合戦』など、数多くの地上波のテレビ番組に出演。大衆にもその名が届いた飛躍の年となった。2月13日に満を持して発売される2ndアルバム「瞬間的シックスセンス』を前に、周囲の盛り上がりをどう感じているのか聞いた。

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■「すごいよ、あなた」って言われても実感がない

――ORICON NEWSでは「はじめまして」になるんですが、匿名性を意識したり、単純に表に出ることを敬遠しているアーティストがいる中で、あいみょんさんはこれまで多くのメディアで積極的に発信してますよね。

【あいみょん】そうですね。私自身こうやって発言することに抵抗がないですし、自分で発信しないと伝わらないこともあるので、機会があれば積極的にお話しするようにしています。あと発言したいことが溜まると、SNSに逃げがちなので(笑)。

――2018年のことをお伺いしたいんですけど、今年紅白、Mステなど目立つトピックスがかなりありましたよね。単刀直入に「売れてきた」感覚はありますか?

【あいみょん】“当事者”という感覚があまりにもなさ過ぎて、自分じゃわからないんですよね。周りからは「今、すごいよあなた」って言われるんですけど、私は「へ~そうなんですか」みたいな(笑)。国民栄誉賞とかノーベル賞をもらえばまた違うんでしょうけど、常に客観的に出来事を見てました。もっとヒットしてる人はどんな感覚なんだろうって思います。

――“大ヒットする”っていうことは“歴史に残る曲”を生み出したってことですよね。

【あいみょん】今の時代はヒット曲が生まれにくいと言われるけど、やっぱり音楽を作る人にとっては「曲をずっと残したい」っていうのが根本にあるから、米津(玄師)さんの話題は希望を与えたと思うんです。美術館に行くと、500年も1000年も前に作られた作品が残され、守られていますよね。音楽も大切に残してもらえるように、美術館のような存在があればいいだろうなって純粋に思います。

――昨年は“平成最後”というトピックスがあったからか、音楽番組でも過去の名盤やアーティストを振り返ることが多かったように思います。

【あいみょん】でもそれじゃ意味がないなって思うんですよね。もうちょっとメディアで、下から這い上がろうとしてる人たちを掘り起こしてあげるということをできたらなと。ヒットするには知名度、露出できる場所も必要かもしれない。でも私は曲が良かったら、人を惹きつけられると思うんです。米津さんはあまりメディア露出をしないじゃないですか。それなのにあれだけ支持されるのは、曲の力が大きいってことですよね。

■サブスク全盛期の時代に伝えたいCDの良さ

――あいみょんさんは「サブスク(=定額配信)」人気が高く、昨年の紅白でも選考理由に挙げられていましたが、自身は「フィジカル(=CD現物)」で届けることを大事にしてると明かしていましたね。

【あいみょん】もちろん、時代に合った聴かれ方をされてるのはすごいありがたいんですけど、実際私たちが本当に一番一生懸命になってるところって、「CDを作る」工程なんですよね。アートワーク含め、隅々のデザインまで抜かりなく最後までチェックして、それを手に取って見てほしいなっていうのが本心としてあります。最近は「これ聴いてみてよ」という“手渡しの音楽”がなくなってしまって、そこにまつわる思い出とか物語が省かれちゃっている。URLを送ればすぐ聴けるのも便利なんですけど、やっぱり青春時代に“手渡しの音楽”を通ってきた私としては大事にしたいです。

――音楽配信が無かった時代に生まれた「名盤」と言われるCDは、ジャケットも印象的ですよね。

【あいみょん】そうそう。例えばニルヴァーナの曲は知らなくても、赤ちゃんが水中を泳いでいるあのジャケットは知ってるみたいな(笑)。ブックレットのなんとも表現しづらいインクの匂いとか、隠れたところにデザインがあるとか、CDは芸術作品として「いいな」と思えることがたくさんあるんですよね。


新作において「産みの苦しみ」はなかった(あいみょん)

――新譜についてお聞きしたいんですけど、当然のように期待値が高まっている中、制作面で前作と変えたことはありますか?

【あいみょん】今回書下ろしが多かったんですが、書き下ろしって、今の自分が出せる精いっぱいの良い曲なので、全てをシングルカットにする意気込みで作りました。でも「産みの苦しみ」っていうのは全く無かったです。

――多忙の中でも……すごい。

【あいみょん】曲自体はいつでも作れます。でも年間100曲作っていたこともあるから、去年は40曲“しか”書けなかったと思っています。理想を言えば、月に2曲は作りたいなっていうのがあって。以前インディーズからデビューするにあたって、事務所から「50曲くらい書いてみて」って言われて、私は「無理そうだな……」と思ったんですけど、わりとすぐ書けちゃったんですよね。そのときに「曲作り、もしかしたら得意なのかな」って気づいて。

――歌詞は40曲だったら40通りのテーマを考えていたりするんですか?

【あいみょん】書き下ろしだと「いつまでに」って期限がありますし、歌詞にもテーマはあるんですが、普段は朝起きました、ちょっと時間あります、ソファの横にあるギターを持って弾いて適当に歌ってみました、それで曲ができていくので特にテーマを設けていません。もう日記を書くような感じで作っています。

■紅白出場でも語った「家族」への思い そして今後の目標

――紅白決まったときも、「親孝行ができる」というコメントを残していましたが、6人姉弟の次女と大家族の中育ったあいみょんさんは、たびたび「家族」への思いを語っていますが、やはり密接な存在だったからこその発言ですか。

【あいみょん】そんなこともなかったんですよ、仲悪い時期もあったし。お母さんは「親孝行はせんくて(しなくて)良い」って言うんですけど、好きなことを学生時代からやらせてもらって、お金もかかったことを思うと、私としては親孝行したい。テレビに出ることが親孝行かっていったら、わかんないんですけど、何せ紅白だし(笑)。少しでも恩返しが増やせるなら出ようと。

――おばあちゃんが昔歌手になりたかったこともあって、特に感激してくれたんですよね。

【あいみょん】そうなんです。「夢を叶えてくれてありがとう」って言われましたね。私もその言葉を聞いてすごく感動して……でも最近は味を占めたのか、「ばぁばはなあ、女優にもなりたくてなあ、お笑い芸人にもなりたかったんや」って次々と要望を言われるようになりました。「それだけは叶えられへんわ」って早めに話を終わらせて(笑)。

――著名な音楽番組に出たり、2月18日に初の武道館ライブがあったりと達成項目が増えていますが、何年後かに描いている目標はあるんですか?

【あいみょん】あまりないですね。昔よくそういう質問されて、「10年後はこのぐらいのキャパのライブ会場で演奏して……」って言ってましたけど、今はもう、明日できることを考えたいなって。もちろん、「太陽の塔の前でライブをしたい」「お父さんにPAやってもらいたい(※父親はPAエンジニア)」って大きい夢は持ちつつも、それが何年後かっていう風にしてしまっては「まだまだ時間あるやん!」って先延ばしして余裕を持ってしまうので。

――プライベートでも?

【あいみょん】あ、音楽以外のことであれば結構考えていますね。30代で結婚して、子どもも2人、3人ほしいとか。うちはお姉ちゃんや妹がやけに妊娠・出産が早い分、感覚がおかしいのか、25歳で結婚は遅いみたいになってるんですよ。でも「世間では遅くないから!」と(笑)。お姉ちゃんと妹が早めに子ども産んで親孝行してる分、私は音楽でゆっくり親孝行しながら、家族はまだ先でも良いかなみたいな。

(取材・文/東田俊介 写真/飯岡拓也)