ORICON NEWS


YOSHIKIの需要拡大から紐解く ロックスターのバラエティ映えは“幻想力”がカギ

  • 0
  • LINEで送る

バラエティ番組の出演が続いたX JAPANのYOSHIKI (C)ORICON NewS inc.

 昨年から年末年始にかけて、メディアを席巻した男と言えば、X JAPANのYOSHIKIだろう。女性ファッション誌『VOUGE JAPAN』で日本人男性として初めて表紙も飾るほか、年末の『紅白歌合戦』(NHK総合)はもちろん、『しゃべくり007』(日本テレビ系)や『芸能人格付けチェック』(テレビ朝日系)、『マツコの知らない世界SP』(TBS系)、『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)等のテレビ出演など、その活躍は多岐にわたった。日本随一のロックスター・YOSHIKIのまさかの“バラエティ映え”を各メディアもこぞって報道したことで目にした機会も多いことだろう。なぜYOSHIKIがこうも注目を浴びることになったのか。過去のロックスターのテレビ番組における活躍、バラエティ番組との関係を探ってみたい。

【写真】”幻想力”溢れるYOSHIKIのポートレイト

■YOSHIKIがまさかのバラエティ映え、破天荒イメージとのギャップが高評価

 年末年始の“YOSHIKI現象”を簡単に振り返れば、まずは『紅白歌合戦』で、昨年5月に受けた頸椎人工椎間板置換の手術の影響で封印していたドラム演奏を復活。そして『ダウンタウンなう』では、かつて『HEY! HEY! HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)で語り、もはや一人歩きをしていると言ってもいい“伝説”の「カレーが辛いから帰った」、「シャワーが熱いから帰った」事件の真相を激白。X JAPAN的には“黒歴史”とも言えるToshIの洗脳騒動に触れた際、「(パワースポットにハマっている)俺、大丈夫かな?と思ってToshIに会ったときに相談しました。一応、(ToshIは)専門家じゃないですか?」とサラッとネタにし、松本人志に「この人、変わってるわ~、おもしろい」と絶賛されたのだ。過去には数々の破天荒なエピソードもあるYOSHIKIだが、イメージとはかけ離れた気さくな姿とぶっちゃけトークを披露したのだ。

 さらに、『芸能人格付けチェック』で待ち時間におかきを食べ続ける姿が映し出されると、そのおかきメーカーの公式サイトが一時ダウンし、バカ売れして売り切れてしまうという“プチ社会現象”すら招いたのである。こうした一連の番組出演は、X JAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』のブルーレイDVDの“番宣”もかねており、2009年8月以来約8年ぶりとなるトークバラエティ番組出演だったわけだが、YOSHIKIはいっさい気取らず、出演番組すべてに対して真摯に対応している姿に視聴者も好感を持ったということだろう。実際に、『しゃべくり007』ではYOSHIKI出演中に21.6%という高視聴率をたたき出している。

 かつてのYOSHIKIのイメージは、過密スケジュールによるYOSHIKIの遅刻が常習化し、テレビ撮影班を6時間待たせたとか、歓楽街やホテルでYOSHIKI出禁になったりと数々の凶悪な伝説があった。そのイメージとの“ギャップ”が、驚きとともに視聴者の好感度を押し上げる要因ともなったのである。


■“素顔をさらす”だけが正解ではない、ロックスターのTVでのキャラ付けは十人十色

 そうしたロックスター伝説とのギャップを活かして、バラエティ番組で活躍するミュージシャンはYOSHIKIが初めてではない。『芸能人格付けチェック』でYOSHIKIと共演したGACKTもすでに同番組の常連で、チームとしては39連勝を果たすという記録を持つ。何度も音楽番組に出演しては、「(自宅の)真っ暗な部屋の中の照明はロウソクひとつで、高さ5mの滝もある」といったいかにも“ビジュアル系”のエピソードを明かす一方、「ガンダム愛」を披露するなどの親近感あふれるおちゃめな顔も見せている。

 T.M.Rをプロデュースする西川貴教も、『紅白歌合戦』の副音声「紅白ウラトークチャンネル」に乱入するのが恒例行事で、出演歌手以上に熱唱したり、元妻のPUFFY・吉村由美と勝手にデュエットするという暴走をしながらも、「イナズマロックフェスティバル」の立ち上げなど、最近では実業家としての一面ものぞかせている。

 そのほか、元レッド・ウォリアーズのダイヤモンド☆ユカイもバラエティ番組に進出しており、自らの潔癖症や父親としての子煩悩ぶりを披露しているし、THE虎舞竜の高橋ジョージもバラエティの常連のみならず、自らもワイドショーネタにされもした。DAIGOはもともとタレントとしてのイメージのほうが強いが、近年では映画『嘘を愛する女』に出演するなど俳優の顔も見せている。大御所で言えば、ハウンドドッグの大友康平やARBの石橋凌などはすでに役者として大成しており、バラエティ番組に限らず、ロックスターが自分のフィールド以外で活躍する例は意外と多いのだ。


■またも“YOSHIKIに続け”なるか? バラエティでは“幻想”をいかに保てるかがカギ

 ロックスターならではの“カリスマ性”。バラエティ番組にハマッて身近なイメージになったような気がするが、XJAPANのYOSHIKIならYOSHIKI像、GACKTならGACKT像といったものは崩れず、どこか違う世界の住人のような浮世離れをした“ロックスター”のイメージを保っている。

 2016年の『第67回 紅白歌合戦』では映画『シン・ゴジラ』とのコラボ演出が物議を醸したが、唐突感のある“歌の力でシン・ゴジラを倒す”企画をラストシーンでまとめ上げたのが、郷ひろみや嵐、福山雅治ではなく、X JAPANでありYOSHIKIだったのだ。逆に言えば、X JAPAN以外にはできない役であり、他のアーティストが行っていたとしたら視聴者も納得しなかっただろう。その説得力の裏にはYOSHIKIが作り上げてきた“ロックスター像”が間違いなくなくあった。

 GACKTにしても、『芸能人格付けチェック』でチームが不正解し連勝記録が途切れた際、相棒のアイドルをTwitterでフォローするコメントを出したことが高く評価された。今年の相棒であるYOSHIKIも、高級ワインを当てて正解した後に不正解のワインを称賛するコメントを出し、「敗者をフォローするYOSHIKIかっこいい」などとネットで称賛された。そうしたロックスターならではの“器の大きさ”を感じられる言動も、ロックスターの“幻想力”において重要なポイントなのかもしれない。

 ちなみにYOSHIKIと言えば、楽曲の権利をアーティスト側で管理を始めた先駆者であり、後輩のバンドたちが足を向けて寝られない存在でもある。数々のバンド史に残る道を切り開いてきたYOSHIKIだが、ここにきてバラエティ番組における活躍を見せ、さらに新たなロックスターの在り方を“開拓”したとも言えるのかもしれない。

 今後は、YOSHIKIに続いてビッグネームのテレビ出演が増えていく可能性も。バンドではL’Arc~en~CielやGLAYらの大物も存在する。今年大型フェスを企画しているLUNA SEAや、今年で音楽活動50周年を迎える大御所中の大御所・矢沢永吉のテレビ出演の可能性も高く、「俺はいいけど、YAZAWAが何ていうかな」などの“名言”をバラエティ番組で聞くことができるかもしれない。いずれにせよ、番組出演の際には、単純に自然体を披露するのではなく、ロックスターとしての “幻想力”ともいえるカリスマ性を保てるのかどうか、そこにバラエティ映えのカギがありそうである。

関連記事