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日本山岳会の千葉山行日記

笠森グリーンルート

 笠森寺の観音堂からユートピア笠森へと至る約11Kmコースで、一部は現在、我々日本山岳会千葉支部が踏査中の房総半島の分水嶺にもなっている。

高宕山(330m)

 この10月に緑濃い房総丘陵の中心に位置する高宕山(330m)へ石射太郎(いしいたろう)を経由して歩いた。

 登山道は高宕山自然遊歩道となっており、整備された歩き易い道である。スタートは植畑上郷バス停で下りて舗装道路を高宕第一トンネルまで歩き、ここから急登の山道に入る。 杉林を抜けて20分位で稜線に出ればそこが岩峰・石射太郎(いしいたろう)の鞍部である。

 ここにはニホンザルの餌付け小屋が残っていた。鞍部からは目指す高宕山山頂や八良塚のどっしりした全容が見渡せる。
石射太郎からは明るい落葉樹の尾根道を行く。今年の夏の暑さと秋の長雨でキノコがたくさん発生していた。

 高宕山直下の源頼朝ゆかりの高宕観音まで50分ほど。ここで昼食。遠くに鋸山の鋭角的な山容も見える。それにしても房総丘陵の中心は豊かな広葉樹が稜線から谷底まで覆っており、小さな尾根が波打っているのが確かめられる。春の山桜や秋の紅葉の頃はきっと最高だろう。稜線上には高山にあるモミやツガの大木も残っている。

 高宕山のモミやツガは、氷河時代の生き残り的存在で、大変貴重なものなのです。通常は、標高が700m以上でないとモミは自生しませんが、たかだか300mの山にモミがあるということは、垂直分布の「寸詰まり現象」なのです。地球温暖化で、今後の生育が心配なモミです。

 それにしても今回楽しみにしていた天然記念物のニホンザルには出会えなかった。高宕山の岩峰の山頂から房総丘陵の展望を楽しんだ後の下りは整備された関東ふれあいの道を進み、八良塚分岐で八良塚までピストンした。八良塚分岐から奥畑バス停(国道410号)までは約60分の下りである。(記:渡邉 信一)

三舟山(138m)

 山高き故に尊からず-とは,こういう里山を言うのかも知れない。山の名は「三舟山」。文字通り「みふねやま」と呼ぶ。その名の通り、遠くから眺めると、小舟をひっくり返したような形をしている。標高は138mだが,れっきとした房総丘陵の山の一つである。                           

 JR内房線の君津駅で下車。南口から歩き出す。三舟山はちょうど南に位置している。コンパスの針を合わせて一路山へと向かう。

 駅からしばらくは街中歩き。間違えないよう地図を確認しよう。やがて古い街道を意味する「房総往還」の道標が出てくる。初冬や早春、ツツジの季節はさぞ素晴らしいハイキングになるだろう。わたしたちが歩いたのは5月半ば。新緑が一段と濃くなって、万緑の山からは初夏のにおいがしてきた。苔むす石仏や古い道標が往時をしのばせる。このあたりは永禄10(1567)年の室町時代、地元の里見氏と北条氏が血で血を洗う合戦を繰り広げた古戦場だ。

 駅から約2時間でクヌギやコナラ、サクラに囲まれた山頂。間伐材を利用したという展望台があり、小糸川流域の富津岬や東京湾アクアライン、横浜市街が見渡せた。

 帰りは郡ダムまで足を延ばそう。ぐるり回るとちょうど4時間。手ごろなハイキングには最適だ。(記:三木 雄三)

大山(193・6m)

 神奈川県の大山は江戸時代より「大山講」として登られている有名な山ですが、千葉県にも大山と呼ばれる山があります。房総半島の西南端館山市坂田にあり、県道257号(通称フラワーライン)に囲まれたその真ん中に位置する大山です。またの名を「坂田の大山(ばんだのおおやま)」とも言われています。展望の素晴らしい一等三角点のある山で、晴天であれば、眼下に東京湾を見下ろし、霊峰富士は言うまでもなく、遠く南アルプスから丹沢山系、箱根の山、伊豆七島、そして地元千葉県の富山方面の山々が一望できる絶景地です。

 JR内房線館山駅から洲崎方面行きバスにて房総フラワーラインを走り坂田のバス停で下車。県道の海側にトイレがあるので利用してから出発しましょう。県道を渡ると右側に「大山登山口」と書かれた小さな道標があります。民家のある細い道を行くと民宿「庄次郎」があり、ここにも小さな登山道標があります。塀沿いに進むとやがて背の高い竹やぶの中に入り、石段を登り竹やぶをぬけると急登になります。固定ロープが張られていますが、滑りやすいので注意しましょう。特に雨の日は注意が必要です。

 やがてマテバシイの林をゆっくり進むと尾根に出ます。しばらくの間尾根上の道を上下すると視界が開け一等三角点のある頂上に着きます。登山口から約1時間。頂上からの素晴らしい眺望をゆっくり楽しみましょう。頂上から10m先に小屋跡があるが、悲しいことに鉄パイプの骨組みとゴミが放置され山の景観をそこねているのが残念でした。下山道はいくつかあります。県道257号側の坂田、波佐間、西側の洲崎、南側、伊戸方面がありますが、途中わかりづらい所があるので往路を下るほうが良いでしょう。なおJR館山駅からのバスは、本数が少ないので事前に調べておきましょう。(記:波木正司)

元清澄山(344.2m)

 元清澄山は日蓮ゆかりの清澄山(377m)の西奥にある山で、300m級の低山とは思えない険しい山です。登山口は金山ダムバス停からのルートが多く利用されていますが、今回は保台ダムから山頂を目指すルートです。このコースは金山ダムとはまったく逆で、バスの便も悪く登山道も未整備で、しかもルートの一部が明確でなく道に迷いやすいので充分注意したい。

 千葉県の山は砂や粘土で出来ているので岩はもろく崩れやすく、特に雨後の斜面は滑りやすく転倒もありうるので、特に注意が必要です。また、斜面の上り下りは滑りやすいので軽アイゼンがあれば持って行くといいでしょう。

 このコースはバス利用が難しいので車にて登山口の保台ダムサイトに行きます。ダムサイトには駐車場と公衆トイレ、管理事務所があり、ダム湖を通り抜けて20分ほど歩くと花見広場に到着。これから先は未舗装路を歩き、やがて支線の分岐がありますが、直進し梅林入口を見て更に進みます。右手に花木園入口があり更に行くと樹木園広場に出ます。ここで道路が尽きて沢を渡り高度を上げて行きます。標識があり右に分岐する尾根の急斜面を登る。秋の雨の後の急斜面は落ち葉などで登山道が滑るので軽アイゼンがあると便利です。急登が終わると平地で分岐を示す標識、これから先は急な下り。小ピークの先にロープがあり、下った先の左側に標識があるので直進し下る。さらに、小さな上下を繰り返しロープの垂れた急斜面を下ると、やがて幅のある尾根となり、道筋はシダの緑が見られる。ここから最後の急な狭い道を登ると石の祠がある山頂です。昔「清澄寺」があったことが元清澄の由来です。

 山頂からの下りは整備された道で里塚番所跡を目指します。登山道は整備されていますが、階段状態ですので膝の負荷に注意しゆっくり下りましょう。里塚番所跡からは1時間20分で金山ダムに架かる赤い橋に出ます。金山ダムバス停には10分ほどで着きます。バスの便数が少ないので事前に調べておきましょう。 (櫻田直克:記)

高星山(155m)

 ご覧いただいているホームページ『千葉の山シリーズ』で紹介中の「権現の森」から歩いてみたのが今回紹介する「高星山」だ。標高はたかだか155メートル。20階建て千葉県庁の高さが100メートルだから、とても高さを誇れる山ではないが、紛れもなく房総半島分水嶺の線上に位置する立派な山なのである。 国土地理院の2万5千図「海士有木」 (あまありき)を広げると、ちゃんと載っている。丁寧に見てみよう。

 房総の分水嶺踏査を目指す私たちは10月、「権現の森」から歩いてみたが、高星山から笠森観音を結ぶコースを設定して歩いてみるのも面白いだろう。どちらにせよ長柄町の刑部(おさかべ)から登るのが一般的だ。刑部へはJR茂原駅からバスの便もある。地図を見ながら西へと進む。市原市へとつながる県道に「焼き鳥峠」「スナック峠」などと書かれたユニークな看板が目に付くころ、道は峠に差しかかる。ここの分岐に注意しよう。左、つまり南下する小道があるから、その道に入る。

 緩く上り、畑や工場をすぎると、まもなく雑木林になる。スダジイの見事な巨木が目立つようになると高星山の頂上に着く。小さなお宮が建ち、東側が開けて、天気さえ良ければ茂原市内や太平洋を望むことができる。地図の破線に沿って南へやぶを下れば、はっきりした道がある。田んぼの縁を行くと、のどかな刑部の集落に戻る。ここから笠森観音までは、あと1時間半ほどだ。(三木 雄三:記)

権現の森(179m)

 千葉の分水嶺を歩いたのは10月。スタートは長柄町六地蔵。ここは、東京湾側の千葉市から外房の中核都市・茂原市に向かう通称「茂原街道」の長い坂道を上りつめた最高地点でもある。コスモスが咲いていた。山道ではカントウヨメナやオミナエシも咲いていた。まもなくクリ林の向こうに小高い山が見えるが、これが標高179メートルの「権現の森」だ。

 タブの自然林に覆われた山は、遠く県庁の19階にある展望ロビーからも望むことができる。下総台地が房総丘陵として盛り上がる顕著なピーク。地元の信仰も厚く、三角点のある森の中に神社が祭られていた。

 スズメバチが飛んでいる山頂を早々に退散し、山村の秋の景色を堪能しながら次の目的地に向かう。道は「関東ふれあいの道」と交差しながら、海上自衛隊の大きなアンテナが立つ市原通信所へと続く。「海だ、海だよ」の仲間の声に目をこらすと、臨海コンビナート群の向こうに青い海。紛れもなく東京湾だ。

 渋くて深みのあるえんじ色はカキの葉だ。やぶの中にアケビがぶら下がっていた。仲間の1人がつるを引っ張って実を取ろうとしていたら、ヘビが出てきた。カラスウリがゆらりと揺れた。

 さらに歩いて刑部の高星山に登る。「刑部」と書いて「おさかべ」と読む。大黒様を祭る古い集落の一つ。高星山までは分水嶺の線上を歩く。やがてスダジイの巨木たちと出会った。この頂にも祠があった。東側が切り開かれ、茂原市内の町並みと太平洋が、午後3時の日を浴びて、明るく見えた。暖地の存残林として国の天然記念林に指定されている長南町の笠森観音の森までは、あと一頑張りだった。 (三木 雄三:記)

麻綿原高原 (364.3m)

 「麻綿原」は関東随一と云われるアジサイ園です。高地にあるため7月から咲き始め、中旬が見ごろになります。その数は5万本以上。ホンアジサイの一種類です。地名の由来は諸説があり「麻」と「綿」が栽培されていたため、高天原の伝承で天原(アメハラ)と呼ばれ、その後「マメバラ」と発音され現在「マメンバラ」と呼ばれようになったとか。麻綿原高原へは幾つかのコースがありますが、今回はJR安房小湊駅から内浦山県民の森を通って行くコースを紹介します。駅を出て100mほど行くと左に「関東ふれあいの道・内浦山県民の森4・5キロ」の道標があるので、JRの陸橋を渡り県民の森管理事務所を目指し舗装路の県道を行きます。県民の森からは3コースありますが、ヤマビルやマムシの多い山間部をさけ、舗装路の県道を歩きます。やがて清澄寺からの道と合流、右の道を行くと麻綿原入口に着きます。入口からは青紫一色のアジサイです。当日は雨上がりの日でしたので露に濡れたアジサイが見事でした。あまりのアジサイの数と見事さにただ“ワーア!”歓声のみでした。更に道を行き小高い丘を登ると「天拝園」があり太平洋が見渡せる展望台です。
 
 天拝園周辺は妙法寺の敷地で、約30分で一巡出来ます。アジサイは昭和26年より植樹され日本最古のアジサイ園です。帰路は清澄寺へと下山。下山路は舗装路ではなく登山道でうっそうと茂る杉の大木と切り立った深い谷で低山とは思えない道です。また雲海も見事でした。清澄寺バス停から乗車時間20分ほどで安房天津駅に着きます。本数が1日6本と少ないので事前調べておきましょう。清澄寺で休息時にヒルが登山靴の中にいたのでこの時期はヒル対策に塩水をかけて撃退するのに塩水の持参をお勧めいたします。(櫻田 直克:記)

愛宕山(408.2m)

 愛宕山は千葉県の最高峰です。実はこの山は日本一の山でもあります。各県の最高峰のなかで、日本一標高が低いのがこの愛宕山。山頂に自衛隊のレーダードームがあるので、事前に入山者の住所・氏名を明記して予約を取る必要があります(予約については後記)。そして、当日は運転免許証・健康保険証など身分を証明する書類が必携です。
 
 入山のアプローチは、車で国道410号線大井の分岐から林道嶺岡中央1号に入り基地まで行くか、あるいはJR安房鴨川駅からタクシー利用となります。「航空自衛隊嶺岡山分屯基地」の入り口に着くと一人一人身分証明書のチェックを受けた上でゲートを入ります。案内の自衛隊員がトップとラストに一人ずつ付き山頂に向かいます。隊員は礼儀正しい好青年で色々の質問に答えてくれますが、機密に関することは巧みにはずされます。木の間から特徴ある御殿山のピークが望めます。10分も歩くと頂上。遠くからはよく見えるレーザードームは樹木にかくれ、頂上からは見えません。
 
 408.2m三角点の前でシャッターを押してもらい下山。ゲートに戻ると三角点の写真がプリントされた名刺大の「千葉県最高峰登頂記念」が渡されました。私たちが歩いたのは5月中旬でしたが、「今年度32番目の登山者です」と記されたものをもらいました。仲間たちが「自衛隊さんもなかなか味なことをやるな」と好評でした。ふもとには日本酪農発祥の地という嶺岡牧場があり、帰途大山千枚田にも立ち寄るといいでしょう。(篠﨑仁 記)
 
 予約先:航空自衛隊嶺岡山分屯基地 tel.0470-46-3001

伊予が岳(336.6m)

 伊予が岳は千葉県の山では珍しい岩峰です。鋭い岩峰から安房の妙義山とも呼ばれています。
 
 また千葉県の山名で、唯一「山」ではなく「岳」の名がつく山でもあります。山名の由来は愛媛県(伊予の国)の石鎚山の天狗岳に似ているので伊予ケ岳と命名されたらしい。
 
 登山口へはJR岩井駅より富山町営バスに乗り天神郷で下車、平群天神社境内から登山します。今回、私たちは御殿山、富山を登り富山下山後に伊予ガ岳を登るので、吉井集落先の県道89号の途中から左の道が登山口です。登山道はかなり急登でやがて平群天神社からの登山道と合流し、少し登ると展望台に着きます。ベンチがあるので小休止し展望。ここから南峰へは滑りやすい岩混じりの急斜面が始まり、ロープと鎖の登りでちょっとしたアルプス気分が味わえます。しかし注意しないと転落事故になりかねないので充分注意し登ります。特に休日は人も多く下ってくる人達で待ち時間があり時間がかかる場合もあります。展望台からは10分ほどで南峰に着きます。伊予が岳は南峰と北峰に別れ、南峰は露岩で鎖に囲まれています。
 
 山頂からの展望は双耳峰の富山が見え、房総の山々がまるで箱庭のように見えます。北峰へはやや道は荒れているが踏跡がついており10分程度で登れるので行って見よう。北峰からは鋭い山容の南峰が眺められます。下山は南峰まで戻り平群天神社へと下ります。山頂直下の露岩帯は、しっかり指と足を確保し登山者に配慮し降ります。やがてシイ、クヌギなどの雑木林になり杉林の緩い道になり民家が見えると、じきに登山口の平群天神社の境内に着ます。平群天神社は菅原道真公の「平群天神縁起絵巻」が保存されています。(遠藤将一:記)

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