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社説

維持の検討論議を急げ 司法修習生の給費制廃止


 法曹界を目指す司法修習生に国が給与を支払う給費制が今年11月に廃止される。日本弁護士会(宇都宮健児会長)をはじめ、県弁護士会(市川清文会長)は制度の維持存続を求めて活動を展開している。制度廃止についての認知が低く国民に分かりにくいが、「経済的に恵まれた層だけで、弱い人のために働いてくれてる法律家がいなくなってしまう」(市川会長)という法曹界に対する危機感の言葉が端的に影響を表している。裁判員裁判や被害者参加制度など改革が進む司法にあって逆行とも言える廃止。時間はないが、国会で早急に論議、将来を見据えた検討をすべきだ。

 司法試験に合格した司法修習生は1年間、裁判所や検察庁、弁護士事務所で実務研修を積む。この間は準公務員となりアルバイトも禁止されているため、国が月約20万円の給与を支給してきた。ところが、2004年の裁判所法改正で、今年11月に廃止され、代わりに生活資金などを希望者に貸与する制度となる。

 それでも貸与を受ければ全額が借金となり、日弁連をはじめ司法修習生や法科大学院生から反対の声が強く上がっている。日弁連に合わせて県弁護士会は「経済的に余裕のない者は司法修習生への道を閉ざされかねない。弱者に対する配慮が懸念される」とした緊急声明を5月に出し、県議会にも請願した。8月中旬には船橋、松戸、千葉の各駅前でビラを配り、25日には千葉市で「県民集会」を開くなど、「県民に給費制の必要性を知ってもらい、世論から法改正につなげたい」と訴えている。

 日弁連の資料(09年調査)によれば、修習生は現状でも平均で318万、最高で1200万円の借金がある。貸与制を利用すれば、さらに約300万円の借金が加算される。「高額給与の弁護士なら借金を返せる」と思われるが、就職先が決まらず弁護士未登録者が増え、法律事務所でも給料が出ない“ノキ弁”や事務所に所属できない“即独”も見られ、法曹志望者が減っている-としている。

 生活弱者や差別、人権問題などさまざまな立場を守る法曹界。志す若者が経済的理由でこの道を断念することがあってはならない。給費制存続が必要なことは自明の理。司法の将来について考えてみるべきだ。

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