昨年8月1日から始まった東京湾アクアラインの通行料値下げ社会実験から1年。交通量、南房総への観光客数とも伸びており、産業面でもプラス効果が出始めている。社会実験は今年度末まで。県は来年4月以降は国費での値下げ継続を目指している。本県経済だけでなく、首都圏の交通・物流面などからも現行料金の継続が必要だ。
約1兆5千億円の巨費をかけて木更津市と対岸の川崎市を結ぶ全長15・1キロのアクアラインが開通したのは1997年12月。本県にとっては、半島性解消と経済の起爆剤として期待された“夢の架け橋”だった。だが、当初料金は普通車4千円という高額。利用は予想を大きく下回り、無駄な公共事業の象徴として扱われた時期もあった。
その後、時間割引など料金の見直しが行われたものの、割高感はぬぐえず、期待されたほどの経済効果はなかった。今回の社会実験期間の通行料はETC車限定とはいえ、普通車が2320円から800円に、大型車は3830円が1320円へと大幅に値下げされている。
効果は大きく、この1年間の1日当たり平均交通量は3万1800台で、前年比43%増。大型車に限れば72%も増えている。利用割合は県内車4割以外はほとんどが首都圏。景気低迷の中でも昨年、南房総地域では観光客が大幅に増加した。
木更津市では企業進出が活発化しつつあり、館山市では生花や鮮魚などの商圏が拡大。首都圏の物流業者の半数が「輸送コストの減少につながっている」と回答するなど、行政をはじめ各界から現行料金維持を求める声が挙がっている。開通から13年を経て、ようやく大きなインパクトが出始めている。
今年度は社会実験に15億円の県費が使われた。来年度以降、県は国費での「800円維持」を求めており、首都圏の知事・政令市長も効果を認めて賛同している。値下げが社会実験期間の1年8カ月だけで終わっては、ようやく出始めた経済効果に水を差すことになる。民主党政権の英断を求めたい。
値下げは、プラス効果だけでなく道路渋滞に伴う高速バスの遅れや東京湾フェリーの利用者減なども引き起こした。値下げ継続が実現した場合には、こうした「負の影響」の抜本的な対策も急がねばならない。