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社説

魅力ある雇用の受け皿に 新規就農者増加


 2009年に新たに農業を始めた新規就農者数が前年より11・4%多い6万6820人に上ったとの調査結果を農林水産省が発表した。農業生産法人への就職者数などを加算した現行方式の調査を始めた06年以降、新規就農者が増加に転じたのは初めてという。

 同省は、リストラされ再就職先のない人や定年退職者が農家を継ぐケースが増加したことが背景にあるとみて、雇用情勢の悪化が要因の一つだと分析している。今後も減少傾向に歯止めがかかるかどうか楽観は禁物というわけだ。

 しかし、わが国農業の維持、再生にとって就農人口の確保が最大の鍵となることを思えば、たとえ一時的な現象だとしても新規就農者数の減少に歯止めがかかったことは明るいニュースとして受け止めたい。

 就職難の時代は過去にもあったが、今回それが新規就農者数の増加に結び付いた。その背景には、食の安全・安心への意識の広がりや、農業生産法人の増加でここ数年間は就職の機会が増えるなど、農業への注目度が年々高まっていることが挙げられるだろう。

 09年の新規就労者数は年齢別で、60歳以上が20・8%増、40~59歳が2・5%増、39歳以下が4・2%増と全年齢層で増加を示している。高齢者の増加が群を抜いているが、熟年層に比べ若年層の増加も目立つ。給料制の農業生産法人の数が年々増加傾向にあるなど、農業が若年労働力の受け皿として最近注目されているのは確かだ。

 農業生産法人に就職した場合、作柄次第では収入が大きく変動するリスクは残る。それでも就農希望者は増えているという。就農相談を行う「全国新規就農相談センター」は「(就農希望の背景として)食の安全などへの関心を挙げるケースが多い」と説明している。

 大規模な農地を手掛けることが多い農業生産法人は、食品加工、観光といった分野にも手を広げていることから人手が必要になっている。就職難の中、農家出身者ではない人にとっても魅力ある就職先として存在感は増しているといえる。

 国や都道府県なども、最近は新規就農支援事業に力を入れている。新規就農者数の増加を好機ととらえ、一層の施策の充実に努めてほしい。

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