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社説

殺意判断で心の負担に 最長10日間の裁判員裁判


 千葉地裁では、社会を震撼(しんかん)させた凶悪な殺人事件の裁判員裁判が最長の10日間という日程で開かれている。裁判員選任も初公判の11日前に行われ、直前に裁判員1人が辞退するなど異例ずくめ。罪状認否で被告が殺意について否認しているため、裁判員が殺意の有無をどう判断するか注目される中、被害者自らと被告も証言台に立った。制度前から課題だった裁判員の心の負担についても、問題点が浮かび上がりそうだ。

 裁判は千葉市花見川区の花見川団地で昨年7月、母親=当時(61)=が殺害され、次女(23)が連れ去られた事件で、次女と一時、交際のあった仲田敬行被告(29)が殺人と逮捕監禁などの罪に問われている。

 争点は殺意の有無。検察側は「4カ所以上の切り傷を確認。首を狙って、殺意は明らか」として司法解剖の医師らの「意図がある傷」「深い傷は刺さないとできない」などの証言で立証。一方の仲田被告は、母親の死亡を「殺すつもりはなく、もみ合っているうちに首が切れた」と殺意を否認している。

 証人尋問には被害者の次女も立った。「血がすごくて母は『ううっ』とうなっていた。あおむけに倒れた母の姿を見たので、ここで逃げたら殺されると思った」と生々しく当時の現場を振り返り、印象を残した。

 検察側から、現場の写真や牛刀、ナイフ、手錠といった押収品が提示された。市民が事故で血が流れる現場に出くわすケースも珍しい。それが血が流れ人が死亡した事件現場なら、なおさら。裁判で見ることで、心が重くなるケースは想定できる。それでも裁判員には冷静な判断が求められている。

 被告人質問で仲田被告が「次女の母親を死なせてしまったことを、おわび申し上げます」と声をつまらせ、うつむきながら謝罪の言葉があった。それでも殺意否認は変わらない。

 携帯サイトで知り合った2人。公判の中で、初めて出会った時から車で宿泊旅行をしたり、一時は同棲(どうせい)していたことも明らかにされた。言動のやりとりの細かな再現を聞くと、当初に若者特有の“ノリ”があったことも浮き彫りになった。

 なぜ事件が起こり、被害者と被告になったのか。裁判員の思慮深い判断が求められる判決は、6日の予定。

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