• 文字サイズを変更
  • 小
  • 中
  • 大
社説

先送りは解決にあらず 沖縄・普天間移設問題


 鳩山政権が倒れる要因の一つともなった沖縄の「米軍普天間飛行場移設問題」が先の参院選中に論議を呼ばなかったことに何党を問わず不審に思う。少数党も含め社民党を除けば各党ともに立場や方針が不透明。とくに政権党の民主党が日米合意以降のロードマップを全く提示していない。複数の政府関係者は、8月末までには移設先の工法や建設位置を最終決定し米国側に示すとした先の方針を、11月28日投開票の沖縄県知事選以降に先送りする方針を固めたという。

 問題の先送りは何の解決にも至らないことは自明である。菅直人首相は、日本の安全保障から米海兵隊のプレゼンスを肯定した(県内移設)上で沖縄の負担軽減-を言明しているだけで前首相のような“思い”やブレもない代わりに将来展望や民意への配慮も語らないのである。

 普天間移設問題をいや沖縄の問題を喉(のど)元過ぎれば熱さを忘れで済ますわけにはいかないだろう。先の大戦で地上戦の苦痛と犠牲を強いた日本政府。基地の国内移設が論議されても誘致に手を挙げる自治体もない現状は、国民の大多数が「沖縄を辺境としてしか認識していないのではないか」と沖縄県民に指弾されはしないか。

 今回の参院選の沖縄の投票率は52・44%。沖縄の参院通常選挙では過去最低。全都道府県中でも最低となった。しかも政権党の民主党が推薦・公認候補を擁立しなかったのは、日和見主義ではなかったか。沖縄県民多数の願いは普天間に限らず、全島を覆い尽くす基地の撤去である。この投票率をもって政治的関心を云々(うんぬん)するのは危険。必ずや基地撤去の大きなうねりが巻き起こることを予測すべきだ。普天間基地周辺に住む人々は毎日が危険と隣り合っている。

 今、日米合意を基本に名護市辺野古沖合に移設するならば、最大の負担軽減は、中長期展望だが、沖縄からの基地撤去への工程を示すことではないか。安全保障上、日米同盟は担保するのか。海軍力の増強を進める中国に微笑外交以外に軍縮や国際平和を主張できるのか。恣意(しい)的に国際社会を手玉に取る北朝鮮にはどう対峙(たいじ)するのか。低コストでの自主防衛は可能か。こうした視点の環の中に沖縄の基地問題があることを明確に認識する必要があるだろう。

当ホームページの記事、画像などの無断転載を禁じます。すべての著作権は千葉日報社および情報提供者に帰属します。

Copyright (c) CHIBA NIPPO CO.,LTD. All rights reserved.