• 文字サイズを変更
  • 小
  • 中
  • 大
社説

土俵の充実こそ再生の鍵 異例づくめの名古屋場所


 注目の大相撲名古屋場所は、横綱白鵬が15回目の優勝を目指して連勝街道をひた走り、中日を折り返した。

 「かわいがり」の力士暴行死事件、大麻問題、元横綱朝青龍関の一連の騒動と不祥事が相次ぎ、揚げ句の果てが大量の処分者を出した野球賭博問題。理事長は謹慎、NHKが看板番組の中継を取りやめ、天皇賜杯を辞退するなど異例づくめの今場所。伝統にあぐらをかき、とかく閉鎖的だとの批判がつきまとう角界の体質改善も待ったなしだが、土俵の充実なくして大相撲の再生はあり得ない。残り7日間、力士たちにはいっそうの奮起、好取組を期待したい。

 賭博問題では大関琴光喜関と大嶽親方(元関脇貴闘力)が角界から永久追放され、幕内6人を含む10力士が休場処分を受けた。日本人力士ばかりだ。白鵬以下、琴欧州、日馬富士、把瑠都ら外国人力士は一人も賭博には加わっていない。

 古事記の神話にも登場する歴史ある相撲だが、大相撲の原型ができたのは意外にも江戸時代で、明治期までは優勝力士の表彰もなかったという。取組も東西の総当たりから、一門別総当たり、そして現在の部屋別総当たり制となり、同部屋同士の対戦があるのは千秋楽同星の優勝決定戦のみ。大相撲も時代とともに変わってきた。

 人気の全盛は1990年代末の若貴時代。兄弟横綱が所属した二子山部屋は大関1人、関脇3人と関取だけで10人を抱えたこともあった。身内との対戦がないのだから、昇進しやすい環境にあったことに加え、横綱曙武蔵丸らライバルにも恵まれたことも大きい。優勝争いは若貴対外国人力士の構図だった。

 再三にわたって危機管理の甘さが指摘される相撲界は、数々の特権に守られた国技としてではなく、一スポーツとして生き残りをかけ、徳俵に足をかけた状態だ。信頼回復、土俵を盛り上げるためにも協会組織、力士育成機関である部屋制度の在り方を含めて一から検討し、出直すべき時ではないのか。

 空席が目立つ名古屋場所を支えているのは上位に君臨する外国人力士たちだ。朝青龍は引退し、ライバル不在のまま優勝回数を伸ばしても一人横綱の心境は複雑であろう。白鵬をおびやかす若手力士の台頭が待たれる相撲界だ。

当ホームページの記事、画像などの無断転載を禁じます。すべての著作権は千葉日報社および情報提供者に帰属します。

Copyright (c) CHIBA NIPPO CO.,LTD. All rights reserved.