「経済・財政・社会保障の一体的立て直し」を柱に掲げた菅内閣発足から1週間。支持率は鳩山前内閣から一変、V字回復を果たした。まだ、国民は民主党政権を完全に見放してはいなかった。課題山積の中、期待に応え首相の理念である「最小不幸社会」は実現できるのか。
鳩山前内閣の支持率と民主党支持率は辞任直前、ともに20%を割り込んでいた。だが、新内閣発足直後の共同通信社の調査によると内閣支持率は61・5%、民主党支持率も43・8%まで急回復した。
回復の要因は、財務相に本県選出の野田佳彦氏(53)、幹事長に46歳の枝野幸男氏を起用するなど、閣僚と党役員に小沢一郎前幹事長と距離を置く非世襲の中堅・若手議員を配置したことだろう。市民運動家からスタート、党代表や厚相として実績のある菅直人首相の指導力への期待感も支持率を押し上げた。
日本は閉塞(へいそく)感の中にある。バブル経済崩壊後の約20年間、景気対策へ公共事業や増え続ける社会保障費などを国債で賄った結果、国債発行残高は約900兆円という途方もない額になった。この間に生活保護世帯は倍増、2009年度は127万世帯に上る。
自殺者は年間3万人を超え、働きたくても働き口のない「就職難民」、医師不足に伴う病院の診療体制縮小や閉院、施設不足で必要な医療や介護を受けられない「医療介護難民」も多い。
菅首相は10日の所信表明演説で、閉塞状況の打破へ経済・財政・社会保障の一体的立て直しを強調。今後10年間の実質経済成長2%を掲げるとともに財政再建へ、消費税率引き上げを視野に超党派の「財政健全化検討会議」の設置を提唱した。
消費税率引き上げは国民の反発が予想されるため、これまでの政権はタブー視してきたが、もう回避できない段階にきている。国民生活に直結するだけに選挙目当ての「政争の具」にすべきものでもない。国民の理解を得るには、政治の責任として国家公務員給与を含め歳出削減と事業仕分けを徹底的に実施することが必要不可欠だろう。
新政権に問われるのは何よりも実行力。猶予期間はない。来月には最初の関門となる参院選が控える。「三位一体」の立て直しで結果を出さなければ政権交代の意義さえも色あせる。