米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題でつまずいた鳩山由紀夫首相の退陣を受け、民主党代表に選ばれた菅直人氏が首相に就任、新内閣が発足した。
歴史的な政権交代から8カ月。郵政解散で自民党を圧勝させた小泉純一郎氏から政権を引き継いだ安倍晋三氏、福田康夫氏、麻生太郎氏と3代続いた「無責任」「放り投げ」の短命内閣を踏襲するかのような幕切れとなった。日本のリーダーとしての資質、能力が問われたのも、これら歴代首相の共通項であろう。短期間のうちに国民の大きな期待を失望に変え、政治不信を招いた責任は重い。
鳩山氏と小沢氏、党内ナンバー1、ナンバー2がそろって「政治とカネ」問題で疑惑を招きながら、説明責任を尽くさず、灰色決着のまま今日を迎えた。苦戦が予想される参院選を目前にして、党内から鳩山降ろしの声が公然とわき起こり、身を退かざるを得なくなったというのが実情であろう。菅内閣誕生で仕切り直しといきたいところだが、手腕は未知数。じり貧の支持率をどこまで上げられるか。
辺野古に始まり辺野古に戻った米軍普天間飛行場の移設問題。「国外」「最低でも県外」と言い続けた挙げ句、日米合意を優先し、沖縄県民を切り捨てた事実は消えない。鳩山前首相の思いに嘘(うそ)偽りはなかったであろうが、確たる実現の見通しもないまま、県民に期待を抱かせ、「県内移設反対」の大合唱で日米共同声明の履行すら困難な状況を自ら作り出してしまった。
昨年の衆院選で「県外」の公約連呼で沖縄の議席を独占。さらに今年1月の名護市長選で辺野古移設反対の稲嶺進市長を支援したのも民主党だ。鳩山前首相一人の責任とは言えまい。
迷走続きだった鳩山政権で税金の無駄遣いにメスを入れた事業仕分けは唯一、高い評価を得たが、鳴り物入りの「政治主導」は機能せず、総予算の組み替えで公約実現の財源を捻出(ねんしゅつ)する約束も果たせていない。子ども手当は公約通り、来年度に満額支給となるのか、先送りか。
菅新首相に求められるのは、「分かりやすい政治」「ぶれない政治」であろう。明確な対処方針を示し、着実、果断に政策を実行しなければ国民の信頼は戻らない。