東京湾アクアラインの通行料が値下げされた昨夏から今年3月までの8カ月間で、交通量が5割増え、物流や観光面が活発化していることが分かった。一方で、アクアラインを通過する高速バスや房総半島と三浦半島を結ぶ東京湾フェリーの利用者の減少と、土日曜・祝日を中心とする渋滞の急増などの課題が浮上。値下げ効果を生かした地域振興には、交通・観光・物流のバランスへの配慮が欠かせず、より魅力ある受け皿づくりを進めていく必要がある。
通行料引き下げの社会実験は来年3月まで行われ、今回のまとめは「東京湾アクアライン料金引き下げ社会実験協議会」の中間報告だ。近隣都県からの交通量の増加に伴う観光施設の売り上げ増など地元経済への好影響はもとより喜ばしいが、他の幹線道路の渋滞緩和効果が期待はずれだったり、高速バスの渋滞遅延の多発は利用者にとって迷惑そのものである。また、東京湾フェリーの利用客が前年同期の7割にとどまり、高速バス利用客も1割減と厳しい状況に追い込まれている。このまま厳しい状況が続くようでは、深刻な問題にもなりかねない。今回の分析で明らかになった課題を重視し、今後の対応を急ぐべきだ。
アクアライン接岸地の木更津や富津では現在、潮干狩り場がシーズン真っ最中。これからの本格的な夏を控え、南房総の観光施設や海水浴場、山間部のキャンプ場、観光農園などでも大幅な観光客の増加を期待しているだろう。
アクアラインが、房総半島にもたらすメリットは明らかだ。だからといって、過度の依存が問題を膨らましてしまうことは中間報告からうかがえる。
三方を海に囲まれた房総半島は、安い費用で遊べ、東京隣接の近場として、短い期間でも気軽に楽しめる「安近短」をキーワードとする観光地である。農水産物の「千葉ブランド」などが進められているが、関東各県でも食をテーマにした“観光ブランド戦略”を打ち出し、競争が激しさを増している。独自の魅力づくりに手を抜くわけにはいかない。
房総半島への多様なアプローチを用意し、アクアライン効果が均衡ある観光振興と地域経済の活性化に結び付くようにしなければならない。