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社説

実用化急がず安全優先で もんじゅ運転再開


 1995年12月のナトリウム漏れ事故から14年5カ月ぶりに、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」が運転を再開した。原子力機構は、原子炉としては異例の長期停止となった事態を重視し、本格運転までに3年をかけて慎重に性能を確認する方針だという。地元住民の不安を考えれば、当然のことだろう。

 事故後、さまざまな改造工事を施されたもんじゅだが、最大の懸案がナトリウム漏れであることは当時と同じだ。漏えい自体は欧米の増殖炉でもこれまで多発しており、完全な防御は不可能とも指摘されている。原子力機構は「ナトリウムが漏れないよう設計している」と説明しているが、長期停止の後の運転再開だけに、不測のトラブルも心配される。設備の点検や補修には万全を期し、事故防止に努めてほしい。

 95年の事故では、当時の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)による情報隠しも問題となり、動燃の隠ぺい体質は世論の厳しい批判を浴びた。動燃を引き継いだ原子力機構は、事故時の対応手順や公表基準もあらためて整備した。運転再開を了承した福井県の西川一誠知事に、国は「原子力機構を厳格に指導し、安全確保と情報公開に万全を期す」と約束したが、原子力機構には信頼回復に向け、とにかく徹底した情報公開に努めることが求められる。

 今回の運転再開は、使った以上の燃料を生む高速増殖炉の実用化への第一歩と位置づけられる。しかし、今後の高速増殖炉開発をどう進めるのか、国が描く核燃料サイクルは本当に実現可能なのかといった本質的な問題は、政策的にも技術的にも未解決の状況だ。

 現在の国の計画では、実用化の目標年を「2050年ごろ」としているが、高速増殖炉には、使用済み燃料の再処理など、一般の原発に比べ技術的に困難な課題が立ちはだかっている。実用化が仮に実現しても、核不拡散の観点から、増やしたプルトニウムを完全に消費しきることが必要となってくる。

 国には、国内外のエネルギー事情や技術開発状況を踏まえた原子力政策を進めていくことが求められる。いたずらに実用化を急ぐことなく、安全を最優先してもんじゅの運用に当たってもらいたい。

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