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社説

書く喜びを持ち続け飛躍を 千葉文学賞と文学熱


 房総文壇の新たな担い手の発掘を目指す千葉文学三賞は、「第53回千葉文学賞」「第51回千葉児童文学賞」(佳作)、「第4回千葉随筆文学賞」(佳作2編)が決まった。昨年12月から今年1月までの募集期間に集まった作品は三賞合わせて約150編とほぼ例年並みだった。しかし、従来と違った新鮮な切り口の作品や若手の台頭もあり、最終選考に残った作品の水準の高さが明るい要素として感じられた。

 活字離れ、出版不況と、文学をめぐる環境は相変わらず厳しい。ある文学サークルの関係者が、同人の減少傾向を懸念していたことを思い出す。文学は読むことも書くことも努力を伴うからだ。映像文化全盛の時代。努力を避け、目標さえ持とうとしない風潮が文学離れの背景にあると指摘していた。

 一方で、次々と送られてくる応募作を手にしたとき、依然冷めることのない文学熱を実感することになる。お年寄りから若者まで年齢を問わず、だれでも取り組めるのが文学の魅力だろう。作品のレベルから、日ごろ文章教室や文学サークルで切磋琢磨(せっさたくま)している様子も想像できた。

 老いと病気、死、介護問題などの現代社会特有のテーマは今年も目立った。少子高齢化が進む中、最も身近な問題であるからだろう。それ以上に今回は、恋愛、時代小説、SFなどで従来にない力作がそろったと言えそうだ。

 三次にわたる審査を経て、最終選考会には三賞で計17編が残ったが、千葉文学賞に選ばれた柴崎日砂子さん(33)の「はるゆりの歌」は、全選考委員の評価が一致した。遊女になった主人公の数奇な運命が方言をうまく使った昔話として描かれ、創作した歌も効果的に盛り込んでいた。児童文学賞佳作のこっこさん(39)、随筆文学賞佳作の小柳なほみさん(48)、佐藤球子さん(46)も、その才能を各委員が期待した。このほか、受賞を逃したものの惜しまれる作品が多かった。

 文学賞には優れた作品を発掘することはもとより、応募者の飛躍を後押しする役割も担っている。書く喜びを持ち続ける人が1人でも増えてくれれば幸いだ。これからも型にはまらず、目標を持って夢や感動を与える作品を生み出してほしい。

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