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社説

県が里山保全へ乗り出す 損なわれる生物の多様性


 「生物多様性」という言葉を聞いたことのある読者は多いはず。ところが「それは何ですか」と問われると、これがなかなか難しい。約3千万種ともいわれる地球上の生物について「互いに結びついてバランスを保ち、人々の暮らしにもたらす恵み」の概念のことだ。

 樹木とか草花、動物、昆虫、そして魚類など数え切れないほどの生物種が、それぞれの環境に応じた相互の関係を築きながら多様な生態系を形成し、地球環境や人々の暮らしを支えていることで、多様な生きものたちの「にぎわい」とでも言った方が分かりやすいかもしれない。

 そんな生物多様性について、環境省の専門家による検討委員会が「生物多様性の損失はすべての生態系に及び、わが国の場合は全体的に損なわれていることが分かった」などとする、わたしたちが住む日本に関する初の総合的評価の素案をまとめた、と共同通信が伝えた。

 大半の生態系で本来の姿と比べ大きく損なわれており、過去約50年の変化を見ても、特に沿岸・海洋や島しょなどの生態系で「多様性が大きく損なわれており、なお損失傾向にある。森林生態系は自然性の高い森林が減少傾向で、一部で森林に生息する種の個体数が減り、分布が縮小。シカの食害の影響もみられる」と厳しく評価した。このままでは深刻な事態になる。

 対策強化が求められる中で、わたしたちの千葉県では、過疎化に伴う「担い手不足」から森林の荒廃が目立つ県南部の里山の保全に県が乗り出すという。「里山」とは、山奥にある森林の奥山(深山)に対し、集落の近くにあって食料や炭の燃料などを採取する場として利用されてきた農用林などのことだ。県は里山保全に(1)担い手育成(2)県民・企業参加の里山活動推進(3)里山の整備と活用促進-などの施策を盛り込んだ。問題は「絵に描いた餅(もち)」にさせず、できることから始めることだ。

 市原市の五井では1953年にトキの飛来が見られた。このトキの飛来は太平洋側では最後の記録だが、かつて県内の里山には国際保護鳥のトキの姿も多く見られたようで、鴇ケ嶺、鴇崎、鴇谷などの地名もトキにちなんだものだと分かる。

 日本山岳会は全国各地で「森づくり」実施している。協力を求めてみるのもアイデアだ。

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