オバマ米大統領とロシアのメドベージェフ大統領が、チェコのプラハで新たな核軍縮条約に調印した。新条約は、戦略核兵器の配備数を初めて制限した1991年調印の第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わるもので、両国議会の批准を経て発効後、7年以内に配備戦略核弾頭数をそれぞれ1550に制限するという内容だ。
ストックホルム国際平和研究所の推計では、昨年1月現在の同弾頭数は米が2202、ロシアは2787。条約が履行されれば両国合わせて3割を超す弾頭数の削減となる。
オバマ氏が同じプラハで「核なき世界」への構想を表明したのは1年前。世界の核兵器の95%を保有する米ロ両国の今回の新条約調印は、その最初の成果と言える。「唯一の被爆国」として核廃絶を願う日本にとっても喜ばしいことだ。オバマ政権の登場まで停滞気味だった米ロ間の核軍縮協議が、これを契機に一層活発化していくことを願いたい。
調印後の共同記者会見で、オバマ氏は今回の新条約を「長い旅路の一歩にすぎない」とし、「さらなる核削減に向けた舞台が整った」と強調した。メドベージェフ氏も「他の核保有国も米ロに同調し、核軍縮に取り組むべきだ」と呼び掛けた。両首脳の言葉の通り、新条約が全面核廃絶という理想に向けての長期的な取り組みの第一歩となることを大いに期待したい。
米ロ両国には新条約を着実に履行するとともに、新条約で一切言及されなかった戦術核についても削減への道筋を早急に示せるよう、今後も精力的に交渉を進めることを求めたい。二大核保有国が核軍縮を率先実行することは、中国など他の保有国にも良い影響を及ぼすだろう。米ロは2国間の交渉と並行して、全保有国に対しても核軍縮を促すため強力なイニシアチブを発揮してほしい。
日本は現在、国連安保理理事国だが、核廃絶のため外交の場でできる仕事はありそうだ。例えば広島、長崎原爆投下から100年目となる2045年を目標年次とした今後35年間の核軍縮のスケジュールを示す行動計画のようなものを提案するのも一案だと思う。被爆国の呼び掛けはきっと国際世論にも大きなインパクトを与えると思うが、いかがだろうか。