政府の地域主権戦略会議(議長・鳩山由紀夫首相)は、国の出先機関の原則廃止や、国の「ひも付き補助金」の代わりに自治体が自由に使える「一括交付金」の導入などを盛り込んだ「地域主権戦略大綱」(仮称)の今夏策定に向け、本格的な議論をスタートさせた。
自治体の財源と権限を大幅に拡充する地域主権改革は、民主党が政権マニフェストで掲げた重要な柱の一つ。会議で鳩山首相は、地域主権の実現について、政権が進めようとしている諸改革の「一丁目一番地」と述べ、あらためて強い意欲を示してみせた。
これまで2013年夏までとしていた改革実現の時期についても、原口一博総務相は「11年度末か12年度初めには姿が見えているスピードで進めたい」と、大幅に前倒しする考えを表明。いよいよ政権が本腰を入れて取り組もうとしている姿勢を印象づけた。
会議は今後、「出先機関」「一括交付金」など4分野の作業グループを設け、3~5月に改革の論点や具体策を集中審議。5月に大綱骨子、6月に大綱案をまとめ、今夏をめどに最終的な大綱の決定を目指す。
国の出先機関は、国土交通省の地方整備局など地方ブロックないし都道府県単位に地方移管も含めて統廃合し、職員約3万5千人の削減を目指すというのが政府の方針。一括交付金は使途が限定されている補助金を衣替えし11年度から導入予定で、今秋から制度設計の議論が本格化する見通しだ。
地域主権改革がこの通りに実現されることになれば、国と地方の関係も従来とは大きく変わることになる。自治体側の裁量度が増す分、各省庁の権限はそがれるわけで、大綱の取りまとめに当たっては官僚の抵抗も予想される。「首相として一番やりたいことは地域主権だ」と言い切った鳩山首相には、改革が骨抜きにされることなく進むのかどうかは政権の本気度に掛かっていることを肝に銘じ、指導力を発揮してほしい。
財政の硬直化や地域経済の低迷など、地方を取り巻く状況は厳しい。都市部では地方選挙の投票率低下など住民の地方自治離れも進んでいる。地域主権改革が21世紀という新時代にふさわしい地方自治の再構築につながることを期待したい。