千葉県を代表する目玉観光地はどこだ-と聞かれれば「東京ディズニーランド」や「ディズニーシー」「鴨川シーワールド」だと答えない人は、まずいないだろう。夢と魔法が詰まったテーマパークのミッキーやミニー。迫力満点のシャチ、イルカのショーは、われわれ大人でも見ていて楽しい。友人や知人が来訪すると、たいがいここに案内する。いずれも旅行会社の観光地ランキングではトップ級。「どこに行こうか」と考え悩むより、何と言っても定番ならではの安心感がある。
ところが先日、友人から「『はかりめ丼』を食べたい。『なめろう』とか『さんが焼き』でもいい。行くので案内してほしい」と連絡があった。
「佐原の町並みも行ってみようと思う」とも言った。
どこで仕入れた情報か、と尋ねてみたら、なんのことはない。インターネットで本紙地方版に掲載された記事を読んでいたのだ。友人は「定番の観光地では味わえない魅力をぶらぶら歩いて見つけたい」と続けた。
「はかりめ」とは東京湾のアナゴのことで、数年前から富津市の飲食店が街おこしの一環として煮アナゴを主体とした丼物。「なめろう」は旬の地魚をみそ、大葉、ネギ、ショウガとたたいてなめらかにした食べ物で、これを焼いたものが「さんが焼き」。なめろうの名前は、あまりのおいしさに皿まで「なめる」ということに由来する。
そこで、友人を連れて、まず「はかりめ丼」を探した。東京湾を見下ろすがけが連なる小高い場所に来ると、景色が広がった。対岸の灯台は観音崎だろう。海にツンと突き出すのは富津岬。富士山が真っ白く美しい。こんなに展望のよい場所で食べた「はかりめ丼」。煮アナゴの甘じょっぱい味が、どこかなつかしかった。
次に洲崎の突端を回り、鴨川市では「なめろう」を味わった。ちょうど花の観光シーズン。こちらの味も絶品だった。
翌日は香取市まで足を延ばした。有名な香取神宮や伊能忠敬記念館は後回しにして、江戸の面影が色濃く残る歴史的建造物群の路地に足を踏み入れた。
レトロな町並みが逆に新鮮で、ロケ地としても採用されそうな場所があった。
こういう所が、新たな定番観光地になるかも知れない。