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社説

裁判員裁判で厳罰化の流れ 危険運転致死に14年判決


 館山市の国道で昨年8月、95歳と65歳の母娘が飲酒運転による軽トラックにはねられ、死亡した事故。危険運転致死罪に問われた被告(45)の裁判員裁判の判決公判が千葉地裁であり、裁判長は懲役14年(求刑・懲役15年)を言い渡した。同罪が全国で初めて裁判員裁判で問われた。市民の裁判員から「飲酒運転を許してはならない」という強い意思と社会の厳罰化の流れが読み取れ、市民の感覚が生かされた司法改革の評価といえるだろう。

 公判では弁護側が「運転が困難でなかった」として自動車運転過失致死と道交法違反(酒気帯び運転)が相当と主張、罪名について争った。

 判決は「焼酎926ミリリットルを飲み、アルコール検知で0・85ミリグラム。センターラインが二重に見えるなどアルコールの影響で前方注視が困難なことは明らか」と危険運転過失致死罪の成立を認定し「同罪の立法経緯からも二度と同じ犯罪が繰り返されてはならない」と指摘したことは、社会の声に応えている。

 さらに被害者参加で遺族からは「20年の求刑意見」があった。意見陳述で「つらい思いをする家族が減るよう罪の重さを示してほしい」としたことにも裁判長は触れ、「被害者遺族の心情、家庭状況は重く評価すべき。かけがえのない家族を失ったという結果も量刑上考慮すべきである」と遺族の心の問題について明文したことも、市民感情に合う判決と言える。

 「同種事案が後を絶たないことからすると厳しい量刑で臨み、従前の量刑幅を重くすべき」とまで踏み込んだ。

 1999年の東名高速飲酒事故で2人の娘を亡くし、危険運転致死罪の立法に尽力した千葉市の会社員、井上保孝さん(59)と郁美さん(41)夫妻が傍聴した。夫妻は「裁判員が入り、よく言う『八掛け』(判決が求刑の8割)はなかった。裁判員の目が判決に影響したと思う」と冷静に評価する。当時、1人の裁判官で懲役4年の刑だったが、今回は9人で14年。「時代が変わったと感じた」と司法改革に感慨が深い。

 昨年の県内で飲酒事故による死者は17人。交通事故には過失もあるが、「飲んだら乗らない」という意志だけで、飲酒事故はゼロに根絶できることを忘れてはならない。

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