木更津、君津市にまたがる「先端技術の研究開発拠点」かずさアカデミアパークへの企業立地が進まない。県が巨費を投じて整備、維持している拠点である。経済状況は厳しいが、東京湾アクアライン値下げなどの好材料を生かし、工夫を凝らして立地しやすい環境を整え、官民挙げて誘致強化が必要だ。
同パークは総面積278ヘクタール。1984年に構想が策定され、96年に基盤整備が完成した。バイオや情報通信、新素材など先端技術産業の研究施設を集め、県が作ったホールで国際的な学術会議などを開催する「国際的水準のサイエンスパーク」となるはずだった。
県の基盤整備投資額は約500億円。さらに、DNA研究専門施設としては世界初のかずさDNA研究所への補助金や地権者への地代などで年間約30億円かかり、これまでに586億円が投じられている。オープンから13年。操業企業は11社にとどまり、民間用地149ヘクタールのうち、約66ヘクタールが未利用のままだ。
先月には県や地元4市などが出資する同名の第三セクター会社「かずさアカデミアパーク」(木更津市)が経営破たんした。負債総額は約57億円。千葉地裁で民事再生法による手続き開始決定を受けて、営業を続けながら事業を引き継ぐ企業を入札で決定し、6月末までに再生計画案をまとめる。同社は同パーク内の県立ホールやホテルなどの運営を手がけてきたが、経営は創業以来18年連続赤字。出資金など県費50億円は回収不能になる可能性が高い。
バブル経済崩壊の影響を受けたとはいえ、見通しの甘さは否めない。県行政改革推進委員会の辻琢也会長は「当時は県をはじめ経済界など、みんなが(かずさを)世界の中心にしようという壮大な夢を見た。委員会の議論でもここまで引きずってきた県の道義的責任はあるという意見も出た」と断じた。
空き地の目立つかずさだが、アクアライン値下げという追い風もある。通行量も順調に増えており、都心から1時間の近さを国内外の企業や研究機関にアピールする機会だろう。
県によると値下げ後、数社から引き合いはあり、立地しやすいような要件緩和を検討しているという。“夢の跡”をどのように産業振興に結びつけるか。現実的な施策展開が望まれる。