• 文字サイズを変更
  • 小
  • 中
  • 大
社説

国技への信頼回復が急務 激動の相撲界


 ここ1週間、相撲界で大きなニュースが相次いだ。1日の日本相撲協会理事選挙で貴乃花親方が立候補し、当選した。4日には横綱朝青龍が自身の泥酔暴行問題で現役を引退した。土俵外でのこうした慌ただしい動きに、あらためて相撲界に国民の注目が集まっている。

 近年の相撲界は、時津風部屋の力士暴行死事件や外国人力士の大麻汚染事件など不祥事が続発し、そのたびに世論の厳しい批判にさらされてきた。しかし、相撲協会の対応には毅然(きぜん)とした態度が見られず、失望させられた。「国技」を名乗る大相撲の威信は、今や地に落ちたと言えよう。今回の理事選に関心が高まったのも、こうした現状打破への期待からだろう。

 貴乃花親方の立候補は、所属する二所ノ関一門を離脱しての行動。相撲界の派閥ともいうべき一門を飛び出しての挑戦とあって「苦戦」が予想されたが、結果は本人と支持派6人の「基礎票」7票に、他一門からの「造反票」3票を上積みし、堂々の当選を果たした。

 相撲界内部にも、旧態依然の一門支配から脱却し、大胆な改革に乗り出さなければならないという危機感がようやく広がってきた表れだろう。貴乃花親方といえば、今回の経緯を含め、これまで「角界の異端児」とも見られがちだった。しかし協会執行部入りした責任は重い。選挙のしこりが尾を引くことも避けられないだろうが、現役時代に土俵で見せたような不屈の闘志で、理事の一人として協会に新風を吹き込んでくれることを期待したい。

 相撲協会が処分を検討してきた朝青龍問題は、本人が暴行の責任を取り引退することで決着した。これまでも多くの問題行動があった朝青龍だが、一般人に暴力をふるったとされる今回のケースは、「横綱の品格」を問う以前に、相撲人としての自覚が決定的に欠けていたと断じざるを得ない。

 不祥事が重なるたびに「指導力不足」を指摘されていただけに、師匠の高砂親方や武蔵川理事長ら協会執行部の責任は重い。今や相撲に外国人力士は不可欠の存在。今回の朝青龍問題を契機に、外国人力士が異国での生活になじめるような環境づくりに角界全体で真剣に取り組むべきだ。国技への信頼回復に向け、全力で努めてほしい。

当ホームページの記事、画像などの無断転載を禁じます。すべての著作権は千葉日報社および情報提供者に帰属します。

Copyright (c) CHIBA NIPPO CO.,LTD. All rights reserved.