「世界一の長寿国」として知られる日本は、「世界有数のがん(癌)大国」でもあることをご存じだろうか。日本人の「2人に1人」ががんになり、「3人に1人」ががんで死んでいるという。ショッキングな話だ。
新たな医学的知見の発見や医療技術の進歩は目覚ましい。がん治療の分野においてもしかり。だが、厚労省の「がんに関する普及啓発懇談会」座長で、東大病院の中川恵一准教授は25年前に比べ「がん治療はそんなに進んでいない」と断言する。では、がんで命を落とさないためにどうしたらいいのか。
大事なのは「予防と早期発見」。特に即効性のある対策といえばがん検診に尽きる。それなのに日本人のがん検診受診率は先進国中で最低という。中川氏が監修した冊子「がん検診のススメ」によると、がんによる死亡が欧米では減少しているのに、日本で増えている理由の一つが検診受診率の低さにある。
例えば、検診の有効性が国際的に証明されている子宮けいがんで、米国では8割以上の受診率だが、日本では25%程度に過ぎない。食生活の欧米化で増えている乳がんや大腸がんも検診が効果を持つのに、検診受診率も2割台だ。
低い理由は何か。県が07年に実施したアンケート調査結果では、「検診の必要を感じない」「検診の情報がない」「検診の日程が合わない」が上位を占めた。県健康づくり支援課では、がん検診の実施方法や費用についての周知不足、勤労者などが受診しやすい早朝・夕方、土日曜・祝祭日に実施する医療機関がまだ限られていること、さらに症状が出ないうちは検診の必要を考えないというがんに対する認識不足があると話す。
国は07年、がん対策推進基本計画を閣議決定、昨年7月にはがん検診50%推進本部を設置した。県も国の動きに呼応し、同10月に県がん対策推進計画アクションプランを策定して、17年度までにがん死亡率20%減を目標に掲げた。手軽に受診できるがん検診への体制整備はもちろん、がんそのものへの理解拡大がまずは肝要だ。メディアやイベントを通じた広報、学校教育や市民学習の場をもっと活用できないか。がん検診は「受けなきゃソン」。官民一体でそんな意識を広げるよう積極的な支援策が望まれる。