生活保護費から勝手に入居費を天引きされたとされる問題で、千葉市稲毛区で「無料低額宿泊所」を運営する特定非営利活動法人(NPO)など2団体に対 し、元入所者男性(62)と別の男性(64)の2人が、10月28日に有印私文書偽造や業務上横領容疑などで団体代表者らの告訴・告発状を県警に提出し た。“貧困ビジネスをめぐる闇”に司法のメスが入るのか、行政も雇用支援の在り方や団体運営のチェック体制が問われる。
「自立したいがどうにもできない。このままのたれ死ぬより、生活を改善したい」。元入居者が告訴に踏み切った心情は切実だ。
告訴状によると、元入居者は2007年1月に同区の施設に入居、NPOに生活保護受給証明発行申請書を偽造され区役所に提出された。さらに無断で口座を作 られ、今年4月までに振り込まれた生活保護費のうち、毎月の天引きで約216万円を横領されたとしている。別の男性も任意団体に昨年7月から今年6月まで 受給した生活保護費と年金のうち約70万円を天引きで横領されたと訴えている。
生活保護費の申請について別の男性が話した。「一人で役所に行ってもだめなのにNPO関係者と一緒に行くと99%認められる。なぜ簡単に審査が通るのか、おかしい」。一方的な指摘であるが、実際はどうか。
さらに、元入居者が明かした入居の処遇実態。2畳半ほどにテレビと布団、小さな窓がある部屋で、毎月の生活保護費約12万円のうち、入居費として約9万円 が天引きで徴収されたという。食事や住環境は金額には見合わないとも指摘している。「手元に残る3万円では、就職活動も満足にできなかった」と自立したく てもできない実態が浮かび、路上生活に比べた二者択一から施設入居を続けているというあきらめも透ける。税金で生み出される生活保護費、自立支援の趣旨に 沿うようにすべきだろう。自立に向けた施設の必要性はあるため、届け出制から許可制への変更をはじめ、契約や利用料の透明化など法的規制整備で管理運営を チェックする行政指導が不可欠になる。
県警は告訴状の内容を検討しているが、容疑があれば申告がなくても捜査できる。貧困につけ込む違法ビジネスを見逃して横行させてはならない。